神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ーーーーー…ジュリスと一緒に、お買い物に来ていたところを。

突然、知らない男の人達に連れて行かれて。

そのまま、目隠しをされて、足に枷のようなものをつけられて。

自分が何処にいるのかも分からないまま、知らない場所に連れて行かれた。

どんぶらこ、どんぶらこと上へ、下へと揺れる感覚から。

多分、船に乗って何処かに連れて行かれてるんだろうな、と思った。

…ううん、何処に向かってるのかは、大体分かっている。

多分近いうちに、何かが起きるだろう、って思ってた。

だから、連れて行かれたこと事態は、別に怖くない。

それよりも、私は…ジュリスのことばかり考えていた。

私、ジュリスに何も言わずに、勝手に出てきちゃった。

おやつに、一緒にカプリッコと、じゃがりっこを食べるはずだったのに。

勿体ないことしちゃったな…。

ジュリス、心配してるかな?

私のこと、勝手にいなくなった悪い子だと思ってるかな。

…ごめんね、ジュリス。

出来れば、すぐにでも、早く帰りたいのだけど…。





「…着きました」

「ふぇっ」

突然、目隠しを外されて。

ずっと真っ暗だったから、いきなり目隠しを外されると、凄く眩しい。

それに、足を繋いでいた枷も外された。

…やっと自由になった。

自由になったけど、私の周囲を取り囲むように、ここまで私を連れてきた男の人達が立っていたから。

今すぐ走って逃げる、ということは出来そうにない。

…その上。

ようやく、眩しさに目が慣れてくると。

目の前に、すらっと背の高い、若い男の人がいた。

その人が、私に向かって恭しく、頭を下げてこう言った。

「ようこそいらっしゃいました。…『聖神ルデスの写し身』様」

「…。…誰?」

「私はイシュメル女王陛下の家臣…。…シディ・サクメと申します」

「…」

いしゅめる女王…っていう人の名前、聞いたことがある。

「…ここ、キルディリア魔王国、なんだね」

「お察しの通りです」

…やっぱり。

この国に来るのは、これで2回目だね。

1回目は…クロティルダを探しに来た時。

あの時と違うのは、前回は私の意志で来たけれど。

今回は、私の意志とは関係なく、無理矢理連れてこられたという点だ。

「どうして?…なんで私を連れてきたの?」

「申し訳ございません、写し身様。乱暴な真似をするつもりはありませんでした。強引な手段を取ってしまったこと、お詫び致します」

そんなことは良いんだよ。どうでも。

優しく拉致されたって、嫌だったはずだから。

「私、ルーデュニア聖王国に…ジュリスのところに帰りたい」

「…それは…」

「帰らせて」

「…申し訳ありませんが、それは出来ません」

…そうなんだ。

それは残念だね。