神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

「ごめんな、自分…。人に教えるの上手くないんだわ」

「そ、そうですか?でも…あなたは上級魔導師様で」

上級魔導師だからって、何でもかんでも上手いと思ったら大きな間違いである。

下手くそもいるんだぞ。俺みたいにな。

「自分でも長いこと、自分に向いてる魔力の使い方って分かってなくて…学院長に教えられて、ようやくちょっとコツが分かった、って感じで…」

「学院長…。イーニシュフェルト魔導学院の聖賢者様のことですよね?」

あぁ、うん、それ。

学院長は、自分を「聖賢者様」と呼ばれるのはあまり好きじゃないみたいだけどな。

その学院長が、俺の貧弱な才能?に気づいて、拾い上げてくれなかったら。

今頃俺は、ルーデュニア聖王国の片隅で、腐った人生送ってただろうよ。

「学院長に教えられても、魔導書とかよく分かんなかったしな…。テストは赤点続きだったし…」

「よく俺と一緒に、放課後の補習授業受けてましたよね」

懐かしい思い出だな。

俺とルイーシュのセットは、補習授業の超常連客だった。

毎日受けてたぜ。何せ、ほぼ全教科赤点だったからな。がはは。

…畜生。

まぁ、なんだ、だから。

「…魔導書ばっかに囚われてちゃ駄目だぞ。大事なのは…程度に力を抜くことと、あとは…。…勘だ」

「か、勘…ですか」

「そう。それっぽいことをやってたら、いつかそれなりのものになる…。…かもしれない。上手く行かなかったとしても…。…気にし過ぎてもアレだし、まぁ気にしなくて良いんじゃないか?」

「…」

ブラマンジュちゃん、絶句。

そんなんで良いのか…と、目が訴えている。

良いんだよ、そんなんで。

頑張り過ぎて肩肘張っても、疲れるだけだぞ。

「ごめんな?何も教えられることがなくて」

「い、いえ…。大変参考になりました」

参考になりました(笑)。

…恨むなら、俺みたいな奴の専属見習い魔導師に任命した、イシュメル女王を恨んでくれよな。



…すると、そこに。

「訓練中、失礼致します」

ん?

アーリヤット総督府の総督補佐官が、訓練場に姿を現した。

「キュレム様、ルイーシュ様。イシュメル女王陛下から、通信が入っております」

…とのこと。

「えっ、あぁ…。はいはい、今行く」

「お願い致します」

…それで。

イシュメル女王から通信…って、何だ?