絶品のチキン南蛮定食を、半分くらい食べ終えた頃には。
食堂のおばちゃんは、すっかり、俺とルイーシュを信用してくれたようで。
「うちの店はずっと、お客を選ばなかったんですよ。魔導師でも魔導師じゃない人でも、お客はお客じゃないですか。そんなこと、気にしたこともなかったのに…」
ここ最近、ずっと腹の底でとぐろを巻いていたであろう不満を。
全てぶち撒けるかのように、胸の内を打ち明けてくれた。
「そりゃあ、昔からアーリヤット皇国は、魔導師は呪い師だとか、インチキ手品師だとか、言われることもありましたけどね」
「あぁ…アーリヤット皇国は元々、魔導師に批判的な国だったらしいな」
「えぇ。でも、私はそんなことは気にしなかったし…。少なくとも私の周りにいた魔導師は、ちょっと手品みたいなことが出来るだけで、普通の人と変わりありませんでしたよ」
本当にな。
おばちゃん、あんた良いこと言うな。
その通りだよ。魔導師なんて、ちょっと手品みたいなことが出来るだけ。
それ以外は、普通の人とまったく変わらない。
同じ人間なんだから。
「それに…いくら魔導師に批判的だったとはいえ、今ほど酷い差別じゃありませんでした。ナツキ様がアーリヤット皇国を治めてくれていた頃は…」
「…」
ナツキ様、の名前が出て。
思わず、俺は白飯を口に運ぶ箸を止めた。
「あの頃は本当に良かったですよ。あの方はルーデュニア人なのに、この国を、アーリヤット人を守ってくれて…」
「…」
「ナツキ様さえいてくれれば、この国は安泰だと思っていたのに…。こんなことになって」
定食屋の店主のおばちゃんは、はぁ、と溜め息をついた。
「ナツキ様だったら…絶対に、この国を間違った方には導かなかった。こんな酷い差別は、絶対に許さなかったでしょう。…ナツキ様が、生きていてくれたら…」
「…そう、だな」
俺は、キルディリア魔王国のファニレス王城の地下室であった、ナツキ様のことを思い出した。
自分の生存を、アーリヤット皇国の民に伝えてくれ、と。
俺達に頼んできた、ナツキ様のことを。
…今、はっきりと理解した。
ナツキ様は、アーリヤット皇国に必要な人間なのだ。
酷い非魔導師差別で、荒んだ国民達の心を取り戻し、再び一つにまとめるには。
是が非でも、彼が必要なのだ。
食堂のおばちゃんは、すっかり、俺とルイーシュを信用してくれたようで。
「うちの店はずっと、お客を選ばなかったんですよ。魔導師でも魔導師じゃない人でも、お客はお客じゃないですか。そんなこと、気にしたこともなかったのに…」
ここ最近、ずっと腹の底でとぐろを巻いていたであろう不満を。
全てぶち撒けるかのように、胸の内を打ち明けてくれた。
「そりゃあ、昔からアーリヤット皇国は、魔導師は呪い師だとか、インチキ手品師だとか、言われることもありましたけどね」
「あぁ…アーリヤット皇国は元々、魔導師に批判的な国だったらしいな」
「えぇ。でも、私はそんなことは気にしなかったし…。少なくとも私の周りにいた魔導師は、ちょっと手品みたいなことが出来るだけで、普通の人と変わりありませんでしたよ」
本当にな。
おばちゃん、あんた良いこと言うな。
その通りだよ。魔導師なんて、ちょっと手品みたいなことが出来るだけ。
それ以外は、普通の人とまったく変わらない。
同じ人間なんだから。
「それに…いくら魔導師に批判的だったとはいえ、今ほど酷い差別じゃありませんでした。ナツキ様がアーリヤット皇国を治めてくれていた頃は…」
「…」
ナツキ様、の名前が出て。
思わず、俺は白飯を口に運ぶ箸を止めた。
「あの頃は本当に良かったですよ。あの方はルーデュニア人なのに、この国を、アーリヤット人を守ってくれて…」
「…」
「ナツキ様さえいてくれれば、この国は安泰だと思っていたのに…。こんなことになって」
定食屋の店主のおばちゃんは、はぁ、と溜め息をついた。
「ナツキ様だったら…絶対に、この国を間違った方には導かなかった。こんな酷い差別は、絶対に許さなかったでしょう。…ナツキ様が、生きていてくれたら…」
「…そう、だな」
俺は、キルディリア魔王国のファニレス王城の地下室であった、ナツキ様のことを思い出した。
自分の生存を、アーリヤット皇国の民に伝えてくれ、と。
俺達に頼んできた、ナツキ様のことを。
…今、はっきりと理解した。
ナツキ様は、アーリヤット皇国に必要な人間なのだ。
酷い非魔導師差別で、荒んだ国民達の心を取り戻し、再び一つにまとめるには。
是が非でも、彼が必要なのだ。



