神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ーーーーー…こちらは、旧アーリヤット皇国領。

この時俺とルイーシュは、まだ、ベリクリーデちゃんがキルディリアに拉致されたことを知らなかった。

知っていたら、もっと早く「行動」してたと思う。




キルディリア魔王国の領土となったアーリヤット領では。

キルディリア魔王国軍の総督による、新しい支配体制が広がっていた。

「…なんつーか…閑散としてるな」

「…してますね」

俺とルイーシュは、「新領土の視察」という名目で。

二人で、アーリヤット領の市街に出ていた。

…視察っつーか、普通に昼飯食いに出掛けただけなんだけど。

ただの外食でも、「視察」と言えば、なんか仕事っぽく思えるから不思議だよな。

ナツキ様が統治していた頃の、アーリヤット皇国のことは知らないが。

それでも今は、明らかに街は静まっていた。

元気をなくしていると言うか…活気がないと言うか…。

元々、この辺りはアーリヤット皇国でも、一番栄えていたはずの場所なのに。

今はすっかり、さびれた田舎の商店街って感じ。

人通りもまばらで、かつての活気は鳴りを潜めている状態だった。

人々の怯えや緊張が、街全体に重くのしかかっているような…。

敗戦国の街並みというのは、こういうものなのだろうか?

勿論、営業しているお店もたくさんある。

…ただし、それらのお店は、どれも…。

「おっ…見ろよ。『焼きたてジューシーハンバーグ専門店』だってよ」

あそこ。看板が立ってる。

「美味しそうですね」

だろ?

昼飯、ハンバーグでも良いかもなぁ。

…しかし、その店の出入り口に、でかでかと貼ってある『それ』を見て。

俺は、思わず足を止めた。

「…ここも、『NO魔導師』ですね」

「…あぁ…」

店の前には、大きな貼り紙が貼られていた。

赤文字で印刷された、『非魔導師お断り』の貼り紙が。

…どのお店も、営業している店は、何処もこんな感じ。

ルイーシュ曰く、『NO魔導師』の札がぶら下がっている。

つまり、魔導師じゃない客は入ってくるな、ということだ。