神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ーーーーーー…ベリクリーデが、町中で白昼堂々、何者かに拉致された。

その知らせを聞いたのは、俺とシルナが聖魔騎士団魔導隊舎を訪ねていた時だった。

シルナが言い出したのである。

「キュレム君とルイーシュ君、大丈夫かな…。…それに、シュニィちゃん達もきっと心配してるだろうし…。…よし、チョコケーキを差し入れしてあげよう!」

…と。

キュレムとルイーシュが心配(←分かる)。

シュニィ達も心配(←分かる)。

よし、チョコケーキを差し入れしよう!(←理解不能)。

しかし、チョコレートは元気を出す為の万能薬、という謎の持論を信じて疑わないシルナに、正論は通じない。

仕方なく、シルナについていくと。

シルナは行きつけのケーキショップで、ありったけのチョコケーキを購入。

ちゃっかりと、自分の分も購入していた。

差し入れじゃなかったのかよ。

そして、そのチョコケーキを持って、聖魔騎士団魔導部隊隊舎にを差し入れに持って行く途中…。




「はー。良い買い物が出来たねー」

巨大なケーキボックスを手に、ケーキショップから出たシルナは。

まるで少女のように、うきうきと、スキップせんばかりのご機嫌な様子だった。

幸せな男だよ。

「ここ、長くお世話になってるけど、本当に良いお店だよね」

「あ?」

「店員さんも優しいし、ケーキも美味しいし!」

「…まぁ、うん。…そうだな」

シルナは、超のつく常連客として、店員さんに顔を覚えられている。

多分、「チョコの人」とか、「チョコおじさん」とか呼ばれてるんだろうな。

それだけならまだしも、「チョコ狂い」とか、「糖尿病予備軍」とか呼ばれてるかもしれない。

無理もない。

「あっ…。羽久がまた、私に失礼なこと考えてる気がする…」

事実だろ。

「でも、今日は良い買い物が出来たら、いくら失礼なこと考えられても気にならないや!」

「そうか。店員に、チョコ狂いとか言われてなければ良いな」

「ちょっと!羽久が私に失礼なこと言ってる!」

気にならないんじゃなかったのかよ。

「きっと喜んでくれるはずだよ、シュニィちゃん達も元気を出してくれ、」

「あ、学院長せんせーじゃん。何やってんの?」

「ひぇっ!?」

突然、目の前に現れた人物に。

心臓がピンポン玉サイズのシルナは、びくーっ!と身体を震わせた。

俺もビビった。

何せこいつら…足音も、気配もなく。

突然、目の前に現れたのだから。

「すぐり…。それに、令月…!?」

「奇遇だね」

イーニシュフェルト魔導学院の生徒にして、『アメノミコト』の元暗殺者。

令月とすぐりのコンビと、町中でばったり出くわした。