神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ーーーーーー…目指す、王都セレーナ中央市役所に辿り着くと。

おばあさんは何度も礼を言って、市役所の建物の中に消えていった。

その背中を見送って、俺はダッシュで、来た道を戻った。

急げ。ベリクリーデが待っている。

ゆっくり歩いて15分の道のりを、全力ダッシュで5分くらいで戻って。

「はぁ、はぁ。ベリクリーデ、もどっ…。た、ぞ?」

…あれ?

つい20分くらい前に、ベリクリーデと別れた交差点に戻ってくると。

…いないんだけど。

「…ベリクリーデ?何処だ?」

周囲を見渡すが、ベリクリーデの姿は見えない。

「…っ!」

俺は、一気に全身の血の気が引いた。

見つけてしまったからだ。

ベリクリーデの代わりに、電柱の陰に落っこちている、白いビニール袋を。

そう。つい先程、ベリクリーデと一緒に買いに行った。

カプリッコと、じゃがりっこが入ったビニール袋である。

その白いビニール袋には、踏みつけられた跡が残っていた。

多分、大柄な男のものだと思われる、泥で汚れた足跡。

買ったばかりのカプリッコが、その足跡に潰されてひしゃげ。

じゃがりっこに至っては、特徴的な紙の丸筒状のパッケージが、ぐしゃりと踏み潰されていた。

ベリクリーデはいつも、あっちにふらふら、こっちにふらふらと、落ち着きなく動き回る奴ではあるが。

「ここで良い子に待ってなさい」と言われたら、大人しく待っていることが出来る子だ。

そして、この、明らかにベリクリーデのものではない足跡…。

…最早、疑いようがない。

「…くそっ、さっきのババア…!」

思えばさっきのアレも、罠だったのだろう。

俺を、ベリクリーデから引き離す為に…!

まんまとその罠にハマってしまった自分が、死ぬほど情けなかった。

あのババア、今度会ったら覚えとけよ。

だが、今は自分を責めている場合ではない。

「ベリクリーデ…!」

助けに行かなければ、すぐに。