神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

…しかし。

「それ」が起きたのは、そのおやつの買い出しが終わった、帰り道だった。




「ねぇ、ジュリス」

「うん?」

「カプリッコ、本当にミルク味で良かったの?」

と、ちょっと心配そうな顔のベリクリーデ。

「やっぱり、じゅーばいハバネロ味、の方が…」

「いやいやいや、俺、あの…カプリッコのミルク味、好きなんだよ」

10倍ハバネロ味とか、100倍ハラペーニョ味とか。

ベリクリーデの冗談かと、半信半疑で買い物についていったところ。

本当に売ってた。

真っ赤なパッケージで、今すぐにでも火を吹きそうなデザインの、カプリッコが。

「わーい、赤くて可愛い」とか言って、10倍ハバネロに手を出そうとするベリクリーデを。

俺は、羽交い締めにせんばかりに、必死に止めた。

「ミルク味、そう、こっちのミルク味にしよう!定番の味の方が絶対に美味しいって!」…とか、色々言って。

「そう?ジュリスがそう言うなら…。じゃあ、ミルク味にしよっかー」と、ベリクリーデは素直に、ミルク味のカプリッコをかごに入れた。

ホッ。

危ないところだった。本当に危ないところだった。

別に俺、特別、カプリッコミルク味が好きな訳ではないのだが。

この際、辛いものじゃなければ、もう何でも良いや。

ミルク味最高。大好き。

「…じゃあ、じゃがりっこは?」

「えっ?」

「ジュリスが、チーズ味の方が好きって言うから…チーズ味にしたけど…。ひゃくばいハラペーニョ、じゃなくて良かったの?」

「…」

…そう。じゃがりっこも、本当にあったんだよ。

100倍ハラペーニョ味、っていう…。こちらも、火を吹きそうなパッケージのじゃがりっこが。

当然、「赤くて可愛いー」と手を出そうとするベリクリーデを、俺は羽交い締めに…って。

もうその説明は飽きたよな。

「うん…良いんだよ。俺、じゃがりっこはチーズ味が好きなんだ…」

「そっかー」

…実は、サラダ味の方が好きなんだけど。

「ほら、ベリクリーデ。チーズ味もあるぞ。チーズ味も赤くて可愛いぞ!こっちにしよう!」って。

咄嗟に指差しちゃったんだよ。

まぁ良いや…。チーズ味も美味いし。

こうして、幾度となく道を踏み外そうとするベリクリーデを、何とか無事に阻止し。

今日のおやつ時間は、平穏に過ごせそうで安心した

…とりあえず。

何でもかんでも、辛くすりゃ売れると思ったら、大きな間違いだぞ。

辛いものが苦手な人だっているんだからな。

俺が許せるのは、精々…ピリ辛、くらいかな。

それ以上は、舌が痺れるだけで、美味しいと思えな、

「あのう…すみません。ちょっと…良いですか…?」

「は?」

背後から、突然声をかけられて。

俺は、びっくりして振り返った。

そこには、困った表情の、杖をついたおばあさんが立っていた。