神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

すると、今度はルイーシュが尋ねた。

「さっきの女性、何処に連れて行かれたんですか?」

…あぁ、それ。

俺も気になってた。

数時間、長くても一晩くらいで、ちゃんと解放されるんだろうな?

「何処に…?…さぁ、何処かの非魔導師収容施設だと思いますけど…」

首を傾げるブラマンジュちゃん。

知らねーのかよ。

「まさか、刑務所…じゃないよな?…いや、いきなり刑務所には入れられないんだっけ…」

最初に入るのは…何?留置所?拘置所?

アーリヤット皇国にも、そういう施設はあるんだろうか。

「この近辺で一番近い収容施設は…。…恐らく、学校なのではないでしょうか」

と、エリトール君。

がっ…こう?

「…なんで学校?」

「現在アーリヤット領では、イシュメル女王陛下の命により、全ての教育機関が停止しています」

「えっ、なんで」

学校、休みなのか。全国一斉学級閉鎖?

子供達はともかく、親達は大変だろうな。

「教育体制を抜本的に改正する為です。これまでの、アーリヤット皇国式の教育から、キルディリア魔王国式の教育体制に変更するのに、時間がかかるので…」

「あぁ…そう、成程」

アレね、俗に言う…墨塗り教科書ね。

教科書に墨を塗る作業で忙しいから、しばらく学級はお休みなのね。

それは分かったけど。

「でも、なんで学校が収容施設に接収されてるんだ?」

「それが…。現在アーリヤット領では、各地で元アーリヤット皇国民の違法行為な頻発していて…」

「…それはしょうがないだろうな」

無理もないだろ。

夜間の外出禁止とか、学校の閉鎖とか。

そして、追い打ちをかけるように、食糧の高騰。

さっきみたいな悲劇が、元アーリヤット皇国の各地で繰り広げられているのだ。

「元々アーリヤット皇国にあった収容施設では、数も人手も足りなくて…。教育体制が整って、学校が再開されるまでの間、各地の学校を接収して、収容施設の代わりに使ってるんです」

「…ふーん…」

…早い話が。

犯罪を行う人が多過ぎて、牢屋の数が足りないから。

代わりに、使ってない学校を押収して、教室の中にでも閉じ込めておこう、と。

そういうことね。

「本当に…。元アーリヤット皇国民は、野蛮な人種です」

「まったくです。これだから、非魔導師の国は…」

呆れるエリトール君と、ブラマンジュちゃん。

…ばっかじゃねぇの?

犯罪を起こす原因を作ってるのは、どっちだよ。

おめーらが何もしなければ、あの人達だって、犯罪に手を染める必要なんてなかった。

今頃、家族の待つ家に帰って。

こたつを囲んで、ゆっくりみかんでも食べていただろうに。

その平和をぶっ壊して、反乱と争いの種を蒔いたのは、キルディリア側じゃないか。

…それなのに。

「…」

何とかしなくては。

取り返しがつかない事態に陥る前に、何とかしなければならない。

俺は、さっき、蹴飛ばされて悲鳴をあげていたあの中年女性が、自分のことのように思えてならなかったのだ。