神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ーーーーー…さて、こちらは。

キルディリア魔王国から、遥々、アーリヤット皇国にやって来た、俺とルイーシュ。

俺達をこの場所に送り込んだ、イシュメル女王の意図はまだ不明だが。

キルディリア魔王国の差別的な国政には、ほとほと嫌気が差していた俺としては。

キルディリア本国から離れ、少しでもルーデュニア聖王国に近い土地に移り住むのは。

あながち、悪い気分でもなかった。



…の、だが。

「…なーんか、やけに殺伐とした雰囲気だな…?」

「街中が静まり返ってますね。何だか気持ち悪いです」

…だよな?

俺とルイーシュが、旧アーリヤット皇国領に到着したのは、既に日が暮れた午後10時頃のこと。

夜の時間はこれからなのに、街は既に、しんと静まり返り。

足音一つ、人の声一つ聞こえない有様。

…何?みんな、もう寝ちゃったの?

寝るの早いんですかね。アーリヤット領の民は。

すると。

「今は、夜間外出禁止令が出されていますから」

俺達の会話を聞いたブラマンジュちゃんが、そう説明した。

は?夜間外出…禁止?

…いや、ちょっと待て。その前に。

「…ブラマンジュちゃん。あんたさん、アーリヤット皇国にまでついてきたんだな」

「えっ?」

専属見習い魔導師って、そこまですんの?

上司の海外赴任にまで、一緒についてくるとは。

正直、君が常に横にいるのは迷惑だから、キルディリア本国で待っていてくれても良かったんだぞ?

「…ご迷惑でしたか?」

「…いや…」

おっと、危ない危ない。

ついうっかり、「うん、正直迷惑」と言いそうになった。

…さすがにな?

「見習い魔導師は、上級魔導師様のお世話をするのが仕事ですから」

ブラマンジュちゃんは、当然のことのようにそう答えた。

…ふーん…。

そういう訳で、旧アーリヤット皇国領にやって来ても、なお。

俺の専属見習い魔導師のブラマンジュちゃんと。

それから、ルイーシュの見習い魔導師のエリトール君も一緒だった。