10分後。
「お待たせーっ!」
お盆に、3つも大きなマグカップを乗せて、シルナが戻ってきた。
「はいっ、これシュニィちゃんの分」
「あ、ありがとうございます…」
「はいっ、これは羽久の分」
俺の分もあるのかよ。
「で、これは私の分!」
「…はいはい、良かったな」
「うーん。今日も美味しい!」
熱々のホットチョコレートを飲んで、目をとろんとさせ、至福の表情を浮かべるシルナ。
…なんつーか。
この顔を見てたら、世の中のあらゆる、どんな悩みも問題事も、ぜーんぶどうでも良くなるな。
「羽久が私に失礼なことを考えてる気がするけど…。ホットチョコレートが美味しいから良いや…」
「あ、そ…」
幸せそうで何より。
…で。
「…シュニィ。今日はどうしたんだ?」
「えっ?」
「何か用事があったんじゃないのか?」
チョコサンド食べに来た訳じゃないだろ。
シュニィだって、忙しいんだから。
こんな朝早くから、わざわざイーニシュフェルト魔導学院を訪ねてきたのだ。
それ相応の理由、何か事情があるものと思った。
すると、案の定。
「あ、はい…。それなんですけど…。実は、相談したいことがあって…」
「えっ。チョコサンド食べに来てくれたんじゃなかったの?」
「シルナは黙ってろ」
お前はもう、一人で勝手にチョコサンド食べてろ。
俺達は真剣に、真面目な話をしてるんだよ。
「それで、相談したいことって?」
「…アーリヤット皇国と、キルディリア魔王国との戦争のことです」
「…」
…そうか。
…それは、確かに大切なことだな。
丁度俺も、その問題について解決の糸口を見つけたいと思っていたところだ。
「ひとまず、ルーデュニア聖王国への侵攻は阻止しましたが…。キルディリア魔王国は、アーリヤット皇国と停戦する気はないようです」
「そうか…。…あいつら、まだ戦争を続けるのか…」
…あいつら、と言うか。
攻め込んだのは、キルディリア魔王国だから。
キルディリア魔王国の王…イシュメル女王だな。
「はい…。いつまでこんなことを続けるのか…。これ以上、国民に被害が出る前に、早く停戦して欲しいのですが…」
「…」
シュニィは沈鬱な表情で、ぎゅっと手のひらを握り締めていた。
…気の優しいシュニィのことだ。
戦争に巻き込まれる、両国の国民達の安否を思い、胸を痛めているのだろう。
対岸の火事なのだから他人事、と簡単に割り切れないのだ。
…気持ちは分かるよ。
俺だって…俺とシルナだって…危うく、その戦争に巻き込まれかけたのだ。
思い出す。
以前、シルナと共にキルディリア魔王国に赴いた時。
危うく、キルディリア魔王国に閉じ込められ、あろうことか亡命させられそうになったことを。
あの時は、ジュリスとベリクリーデが助けてくれたから、良かったようなものの。
もしも二人が俺達を助けに来てくれなかったら、今頃、俺とシルナも、キルディリア軍として、アーリヤット皇国と戦わされていたかもしれないのだ。
あながち、妄想ではないぞ。
…そう思うと、恐ろしいな。
無事に帰ってこられて、本当に良かった。
「お待たせーっ!」
お盆に、3つも大きなマグカップを乗せて、シルナが戻ってきた。
「はいっ、これシュニィちゃんの分」
「あ、ありがとうございます…」
「はいっ、これは羽久の分」
俺の分もあるのかよ。
「で、これは私の分!」
「…はいはい、良かったな」
「うーん。今日も美味しい!」
熱々のホットチョコレートを飲んで、目をとろんとさせ、至福の表情を浮かべるシルナ。
…なんつーか。
この顔を見てたら、世の中のあらゆる、どんな悩みも問題事も、ぜーんぶどうでも良くなるな。
「羽久が私に失礼なことを考えてる気がするけど…。ホットチョコレートが美味しいから良いや…」
「あ、そ…」
幸せそうで何より。
…で。
「…シュニィ。今日はどうしたんだ?」
「えっ?」
「何か用事があったんじゃないのか?」
チョコサンド食べに来た訳じゃないだろ。
シュニィだって、忙しいんだから。
こんな朝早くから、わざわざイーニシュフェルト魔導学院を訪ねてきたのだ。
それ相応の理由、何か事情があるものと思った。
すると、案の定。
「あ、はい…。それなんですけど…。実は、相談したいことがあって…」
「えっ。チョコサンド食べに来てくれたんじゃなかったの?」
「シルナは黙ってろ」
お前はもう、一人で勝手にチョコサンド食べてろ。
俺達は真剣に、真面目な話をしてるんだよ。
「それで、相談したいことって?」
「…アーリヤット皇国と、キルディリア魔王国との戦争のことです」
「…」
…そうか。
…それは、確かに大切なことだな。
丁度俺も、その問題について解決の糸口を見つけたいと思っていたところだ。
「ひとまず、ルーデュニア聖王国への侵攻は阻止しましたが…。キルディリア魔王国は、アーリヤット皇国と停戦する気はないようです」
「そうか…。…あいつら、まだ戦争を続けるのか…」
…あいつら、と言うか。
攻め込んだのは、キルディリア魔王国だから。
キルディリア魔王国の王…イシュメル女王だな。
「はい…。いつまでこんなことを続けるのか…。これ以上、国民に被害が出る前に、早く停戦して欲しいのですが…」
「…」
シュニィは沈鬱な表情で、ぎゅっと手のひらを握り締めていた。
…気の優しいシュニィのことだ。
戦争に巻き込まれる、両国の国民達の安否を思い、胸を痛めているのだろう。
対岸の火事なのだから他人事、と簡単に割り切れないのだ。
…気持ちは分かるよ。
俺だって…俺とシルナだって…危うく、その戦争に巻き込まれかけたのだ。
思い出す。
以前、シルナと共にキルディリア魔王国に赴いた時。
危うく、キルディリア魔王国に閉じ込められ、あろうことか亡命させられそうになったことを。
あの時は、ジュリスとベリクリーデが助けてくれたから、良かったようなものの。
もしも二人が俺達を助けに来てくれなかったら、今頃、俺とシルナも、キルディリア軍として、アーリヤット皇国と戦わされていたかもしれないのだ。
あながち、妄想ではないぞ。
…そう思うと、恐ろしいな。
無事に帰ってこられて、本当に良かった。



