「…貴様らがどういうつもりで、今、ここに…キルディリア魔王国にいるのか、俺の知ったことではない」
呆然としている俺に、ナツキ様が言った。
「だがもし、まだ貴様らがルーデュニア聖王国と繋がっているのなら…。祖国を守る気が少しでもあるのなら、頼む。…俺が生きていることを、何とかしてアーリヤット皇国に伝えてくれ」
「…」
出来る訳ないだろそんなこと。
…と、言いたかった。
「俺が生きていることが分かれば、アーリヤット国民は一つにまとまるはずだ。キルディリアの支配になど甘んじるはずがない」
「…それは…」
「このままアーリヤット皇国が、完全にキルディリアの支配下に落ちれば、間違いなく、次はルーデュニア聖王国だ」
「…!」
「あの女は必ず、ルーデュニア聖王国を…そして、シルナ・エインリーを手中に収めようとするだろう。その為に手段は問わない」
…だろうな。
既に、『アメノミコト』…暗殺者集団まで雇って、戦争を仕掛けてきたのだから。
「そうなっても良いのか?…祖国が灰に焼かれ、キルディリアの魔の手に落ちても良いのか」
良い…訳が無い。
…良い訳が無いだろ。
「そうなる前に、誰かが止めなくてはならない。それが出来るのは今、貴様らをおいて他に…」
…と、言いかけたその時が。
時間切れ、だった。
「時間です。面会を終了します」
制限時間の10分が過ぎて、険しい顔をしたシディ・サクメが戻ってきた。
…畜生、この男。
タイミング、わざと測ってたんじゃないだろうな?
「…」
サクメが再び現れたのを見て、ナツキ様は口を真一文字に閉じて、また黙り込んでしまった。
「ちょっと…ちょっと待ってくれ。まだ…!」
「面会は終わりです。お二人共、退室してください」
おい。なんだそれは。
一方的に連れてきておいて、もう用は済んだから帰れ、って?
そんな勝手な言い分が…!
…しかし。
「キュレムさん、ここは堪えてください」
俺よりずっと冷静なルイーシュが、俺を制した。
う…ぐぬぬ。
でも、確かに。
シディ・サクメの前では、ナツキ様と会話は出来ない。
…ここは潔く、引くしかない。
「…畜生…」
俺はもごもごと、誰にも聞こえないように小声で呟いた。
今ここに、ナツキ様というキーパーソンがいるのに。
『アメノミコト』の戦争への介入という、重要な新情報も手に入れたのに。
この状況で「何か」が出来るのは、俺達だけだって、分かってるのに。
今はただ、潔く引き下がることしか出来ない。
そんな無力な自分が、なんとも歯痒かった。
呆然としている俺に、ナツキ様が言った。
「だがもし、まだ貴様らがルーデュニア聖王国と繋がっているのなら…。祖国を守る気が少しでもあるのなら、頼む。…俺が生きていることを、何とかしてアーリヤット皇国に伝えてくれ」
「…」
出来る訳ないだろそんなこと。
…と、言いたかった。
「俺が生きていることが分かれば、アーリヤット国民は一つにまとまるはずだ。キルディリアの支配になど甘んじるはずがない」
「…それは…」
「このままアーリヤット皇国が、完全にキルディリアの支配下に落ちれば、間違いなく、次はルーデュニア聖王国だ」
「…!」
「あの女は必ず、ルーデュニア聖王国を…そして、シルナ・エインリーを手中に収めようとするだろう。その為に手段は問わない」
…だろうな。
既に、『アメノミコト』…暗殺者集団まで雇って、戦争を仕掛けてきたのだから。
「そうなっても良いのか?…祖国が灰に焼かれ、キルディリアの魔の手に落ちても良いのか」
良い…訳が無い。
…良い訳が無いだろ。
「そうなる前に、誰かが止めなくてはならない。それが出来るのは今、貴様らをおいて他に…」
…と、言いかけたその時が。
時間切れ、だった。
「時間です。面会を終了します」
制限時間の10分が過ぎて、険しい顔をしたシディ・サクメが戻ってきた。
…畜生、この男。
タイミング、わざと測ってたんじゃないだろうな?
「…」
サクメが再び現れたのを見て、ナツキ様は口を真一文字に閉じて、また黙り込んでしまった。
「ちょっと…ちょっと待ってくれ。まだ…!」
「面会は終わりです。お二人共、退室してください」
おい。なんだそれは。
一方的に連れてきておいて、もう用は済んだから帰れ、って?
そんな勝手な言い分が…!
…しかし。
「キュレムさん、ここは堪えてください」
俺よりずっと冷静なルイーシュが、俺を制した。
う…ぐぬぬ。
でも、確かに。
シディ・サクメの前では、ナツキ様と会話は出来ない。
…ここは潔く、引くしかない。
「…畜生…」
俺はもごもごと、誰にも聞こえないように小声で呟いた。
今ここに、ナツキ様というキーパーソンがいるのに。
『アメノミコト』の戦争への介入という、重要な新情報も手に入れたのに。
この状況で「何か」が出来るのは、俺達だけだって、分かってるのに。
今はただ、潔く引き下がることしか出来ない。
そんな無力な自分が、なんとも歯痒かった。



