「…どうして、この人がここにいるんですかね」
呆然としている俺に代わって、ルイーシュがサクメに尋ねた。
「キルディリア側の公式発表では、アーリヤット皇王は戦死したとの話でしたが?」
…そうだよ。
偉そうに、声高に発表してたじゃないか。
ナツキ皇王は投降を拒んで、潔くキルディリア軍の前に散ったと。
その発表を聞き、フユリ様は酷く落ち込んでいた。
それなのに…今、俺とルイーシュの前にいる人物。
ナツキ皇王は、生きている。
生きて、こうして…キルディリア魔王国の王宮の地下に囚われている。
どういうことだよ、これは。
「あの発表は虚偽だった、そういうことですか」
「その通りです」
シディ・サクメは、悪びれもせずに頷いた。
マジかよ。
戦死したという話は嘘で、本当はキルディリア国軍が捕らえ。
こうして、本国で身柄を拘束していたというのか。
「どうしてそんな嘘を?」
「イシュメル女王陛下のご命令です」
あの女狐の仕業か。
「皇王が生きて囚われていると知れば、旧アーリヤット皇国民は、皇王を取り戻し、反抗の旗印とするでしょう。抵抗の芽を摘む為にも、ナツキ様には死んでもらう必要があったんです」
「でも、生きてますよね?」
「殺してしまうのも、殺してしまったことにするのも簡単ですが、生きていれば、いざという時の切り札になりますから」
…へぇ、そう。成程。
旧アーリヤット領の国民達が、反抗の意思を見せることがあれば。
ナツキ様の首を突きつけて脅し、交渉の切り札とするつもりか。
何処までも狡猾。そして冷酷。
人の所業じゃねぇよ。
「無論、そのような切り札を使う状況にはならないことが理想ですが…」
いざという時の為の保険は、こうしてちゃんと確保してるわけね。
…まさか、ナツキ様が生きているとは。
フユリ様に教えてあげたい。
「…それで?」
俺は、さすがに冷静さを取り戻していた。
「自分らをナツキ様に会わせて、どうしようっての?」
ナツキ様という切り札があることを、俺達に教えて。
それで、一体何の得がある?
「あなた方は、ルーデュニア人ですから」
「は?」
「ここに囚われてからというもの、我々がナツキ様に何を尋問しても、頑なに黙秘を続けています」
そりゃそうだろ。
「更に、捕虜の身となっても、ナツキ様は毎日のように、自分をアーリヤット皇国に返すよう、しつこく要請しています」
それもそうだろ。
無理矢理連れてこられてるんだから。当たり前だ。
「侵略者であるキルディリア人に話すことは何もない、との一点張りで…」
だから、それも当たり前のことだろ、って。
お前ら、自分らが何をしたか分かってるのか?
ナツキ様にしてみれば、既に失うものは何もないんだから。
大人しくキルディリアの言うことに従うはずがない。
「ですから、ルーデュニア人であるキュレム様とルイーシュ様になら、何かを話す気になるのではないか、と思いまして」
「…」
「お二人をナツキ様に会わせ、話をさせるように、と…。イシュメル女王陛下からのご命令です」
「…あ、そう」
…あの狡猾な女王様、一体何を考えている?
呆然としている俺に代わって、ルイーシュがサクメに尋ねた。
「キルディリア側の公式発表では、アーリヤット皇王は戦死したとの話でしたが?」
…そうだよ。
偉そうに、声高に発表してたじゃないか。
ナツキ皇王は投降を拒んで、潔くキルディリア軍の前に散ったと。
その発表を聞き、フユリ様は酷く落ち込んでいた。
それなのに…今、俺とルイーシュの前にいる人物。
ナツキ皇王は、生きている。
生きて、こうして…キルディリア魔王国の王宮の地下に囚われている。
どういうことだよ、これは。
「あの発表は虚偽だった、そういうことですか」
「その通りです」
シディ・サクメは、悪びれもせずに頷いた。
マジかよ。
戦死したという話は嘘で、本当はキルディリア国軍が捕らえ。
こうして、本国で身柄を拘束していたというのか。
「どうしてそんな嘘を?」
「イシュメル女王陛下のご命令です」
あの女狐の仕業か。
「皇王が生きて囚われていると知れば、旧アーリヤット皇国民は、皇王を取り戻し、反抗の旗印とするでしょう。抵抗の芽を摘む為にも、ナツキ様には死んでもらう必要があったんです」
「でも、生きてますよね?」
「殺してしまうのも、殺してしまったことにするのも簡単ですが、生きていれば、いざという時の切り札になりますから」
…へぇ、そう。成程。
旧アーリヤット領の国民達が、反抗の意思を見せることがあれば。
ナツキ様の首を突きつけて脅し、交渉の切り札とするつもりか。
何処までも狡猾。そして冷酷。
人の所業じゃねぇよ。
「無論、そのような切り札を使う状況にはならないことが理想ですが…」
いざという時の為の保険は、こうしてちゃんと確保してるわけね。
…まさか、ナツキ様が生きているとは。
フユリ様に教えてあげたい。
「…それで?」
俺は、さすがに冷静さを取り戻していた。
「自分らをナツキ様に会わせて、どうしようっての?」
ナツキ様という切り札があることを、俺達に教えて。
それで、一体何の得がある?
「あなた方は、ルーデュニア人ですから」
「は?」
「ここに囚われてからというもの、我々がナツキ様に何を尋問しても、頑なに黙秘を続けています」
そりゃそうだろ。
「更に、捕虜の身となっても、ナツキ様は毎日のように、自分をアーリヤット皇国に返すよう、しつこく要請しています」
それもそうだろ。
無理矢理連れてこられてるんだから。当たり前だ。
「侵略者であるキルディリア人に話すことは何もない、との一点張りで…」
だから、それも当たり前のことだろ、って。
お前ら、自分らが何をしたか分かってるのか?
ナツキ様にしてみれば、既に失うものは何もないんだから。
大人しくキルディリアの言うことに従うはずがない。
「ですから、ルーデュニア人であるキュレム様とルイーシュ様になら、何かを話す気になるのではないか、と思いまして」
「…」
「お二人をナツキ様に会わせ、話をさせるように、と…。イシュメル女王陛下からのご命令です」
「…あ、そう」
…あの狡猾な女王様、一体何を考えている?



