なんとも気まずい空気で、キルディリア国立中央図書館を出た後。
「エリトール、ブラマンジュの二人は先に帰ってください」
シディ・サクメが、二人の見習い魔導師に命じた。
…何?
「今日はこれより、私がキュレム様とルイーシュ様をご案内させていただきます」
おいおい。サクメ君よ、なんだそれ。
聞いてないぞ。
ここまで連れ回しておいて、「お前らもう用済みだから、帰れ」なんて。
このぞんざいな扱いには、二人共、さすがに抗議するんじゃないかと思ったが。
「分かりました」
「では、先にお屋敷に戻らせていただきます」
二人共、驚くほど聞き分けが良かった。
その時、気づいた。
…そういや、このシディ・サクメも俺達と同じ、上級魔導師。
通称、『金カード』の持ち主だ。
一方エリトール君とブラマンジュちゃんは、将来上級魔導師になることを見込まれて、見習い魔導師に選ばれているものの。
今の時点では、二人共、まだ一般魔導師…『銀カード』である。
この証明書の色による分類は、キルディリア魔王国では、容易に変えることの出来ない絶対的なもの。
年齢、性別、人種に関係なく。『銀カード』は、『金カード』に逆らえない。
従って彼らは、その命令が何であろうと。
目上の人間である『金カード』に命じられれば、素直に大人しく従う。
それは至極当然のことであり、この国においては、変えることの出来ない摂理。
そんな環境で育った彼らは、上級魔導師の命令には何でも従うことが当たり前になっている。
故に、どんな理不尽なことを命じられても、素直に頷いて、その通りに従うのだ。
…家畜や奴隷と一緒だな。
「…」
追い返されたエリトール君とブラマンジュちゃんは、丁寧にお辞儀をして、その場を辞した。
…気の毒に。
…で。
「…お偉い先輩上級魔導師様が、俺達に何の用だ?」
俺は、シディ・サクメにそう尋ねた。
二人を先に返したってことは、一般魔導師に過ぎないあの二人には、聞かせたくない話なんだろう?
「先程も言った通りです。ここからは、私がお二人を案内させていただきます」
「案内…?何処に?」
「ファニレス王宮に、です」
…王宮?
「これは、女王陛下の命です。お二人に会っていただきたい人物がおります」
女王…イシュメル女王直々の命令?
しかも、俺達に会って欲しい人物って…。
何だか、途端に身構えてしまった。
「誰のことだよ?」
「会っていただければ分かります」
…ちっ。
今この場で教えて、心の準備をさせてくれる優しさはない、ってことね。
あるいは、いきなり「その人物」とやらに会わせて。
俺とルイーシュがどんな反応をするか、つぶさに観察しようとしているのかもしれない。
…ったく、性格の悪い連中だよ。
この国の魔導師は、みんなそうなのか?
「…キュレムさん。仕方ないですよ、行きましょう」
俺より先に覚悟を決めたルイーシュが、そう言った。
…だな。
「…分かった。ついていくよ」
「ありがとうございます」
じゃあ、行くとしようか。
久々に、ファニレス王宮に。
「エリトール、ブラマンジュの二人は先に帰ってください」
シディ・サクメが、二人の見習い魔導師に命じた。
…何?
「今日はこれより、私がキュレム様とルイーシュ様をご案内させていただきます」
おいおい。サクメ君よ、なんだそれ。
聞いてないぞ。
ここまで連れ回しておいて、「お前らもう用済みだから、帰れ」なんて。
このぞんざいな扱いには、二人共、さすがに抗議するんじゃないかと思ったが。
「分かりました」
「では、先にお屋敷に戻らせていただきます」
二人共、驚くほど聞き分けが良かった。
その時、気づいた。
…そういや、このシディ・サクメも俺達と同じ、上級魔導師。
通称、『金カード』の持ち主だ。
一方エリトール君とブラマンジュちゃんは、将来上級魔導師になることを見込まれて、見習い魔導師に選ばれているものの。
今の時点では、二人共、まだ一般魔導師…『銀カード』である。
この証明書の色による分類は、キルディリア魔王国では、容易に変えることの出来ない絶対的なもの。
年齢、性別、人種に関係なく。『銀カード』は、『金カード』に逆らえない。
従って彼らは、その命令が何であろうと。
目上の人間である『金カード』に命じられれば、素直に大人しく従う。
それは至極当然のことであり、この国においては、変えることの出来ない摂理。
そんな環境で育った彼らは、上級魔導師の命令には何でも従うことが当たり前になっている。
故に、どんな理不尽なことを命じられても、素直に頷いて、その通りに従うのだ。
…家畜や奴隷と一緒だな。
「…」
追い返されたエリトール君とブラマンジュちゃんは、丁寧にお辞儀をして、その場を辞した。
…気の毒に。
…で。
「…お偉い先輩上級魔導師様が、俺達に何の用だ?」
俺は、シディ・サクメにそう尋ねた。
二人を先に返したってことは、一般魔導師に過ぎないあの二人には、聞かせたくない話なんだろう?
「先程も言った通りです。ここからは、私がお二人を案内させていただきます」
「案内…?何処に?」
「ファニレス王宮に、です」
…王宮?
「これは、女王陛下の命です。お二人に会っていただきたい人物がおります」
女王…イシュメル女王直々の命令?
しかも、俺達に会って欲しい人物って…。
何だか、途端に身構えてしまった。
「誰のことだよ?」
「会っていただければ分かります」
…ちっ。
今この場で教えて、心の準備をさせてくれる優しさはない、ってことね。
あるいは、いきなり「その人物」とやらに会わせて。
俺とルイーシュがどんな反応をするか、つぶさに観察しようとしているのかもしれない。
…ったく、性格の悪い連中だよ。
この国の魔導師は、みんなそうなのか?
「…キュレムさん。仕方ないですよ、行きましょう」
俺より先に覚悟を決めたルイーシュが、そう言った。
…だな。
「…分かった。ついていくよ」
「ありがとうございます」
じゃあ、行くとしようか。
久々に、ファニレス王宮に。



