神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

アーリヤット皇国は、自分達の領土を失って。

ナツキ様も…戦死した、という報告が届いているし。

ルーデュニア聖王国は、元アーリヤット皇国の領土を手に入れたキルディリア魔王国が、今度はこちらに牙を向くのではないかと怯え。

俺やシュニィや、その他の魔導部隊大隊長達も、キルディリア魔王国に潜入したキュレムとルイーシュのことを心配し。

あちこちでたくさんの人々が、心配と不安のあまり、眠れない夜を過ごしているっていう。

…そんな時でも。

ベリクリーデは今日も、元気いっぱい。

それどころか、何処でもらってきたのか買ってきたのか、スナック菓子の袋まで持ってきた。

「ジュリス、これ。ポテッコ」

「はいはい」

「ジュリスと一緒に食べるおやつ、買いに行こうと思って。私の隊の隊士さんと買いに行ったの」

あぁ、そういうこと。

この間の…パピッコの時と同じパターンね。

「そうしたらね、ポテッコが特売だったんだよ」

「ふーん…」

ポテッコって知ってるか?…スナック菓子なんだが。

簡単に言うと…リング型のポテトチップスだな。

リングの形してるだけで、味は普通のポテトチップスと同じだろ?…と、思った人がいたら、その考えは甘い。

ポテッコとポテトチップスは、似て非なるものなんだな、これが。

食感が全然違うんだ。

ポテッコの方が小さくて、それでいて口にいれるとカリカリサクサクした食感で。

1個の大きさが小さい分、ついつい、いくらでも口に運んでしまう。

で、気づいたらなくなってる。

そういうお菓子なんだ。ポテッコは。

それにポテッコと言えば、その可愛らしい形は勿論。

味のバリエーションが豊富なのも、魅力の一つ。

定番のうすしお味、コンソメ味の他。

期間限定で、様々なフレーバーのポテッコが販売されている。

「…で、ベリクリーデは?何味を買ってきたんだ?」

「えっとねー、コンソメ味」

「…」

「…?どうしたの、ジュリス?」

「いや…」

ベリクリーデにしては…やけに普通、って言うか。

もっと変な味…。「なんで寄りによってコレを選んだんだ?」と思うような、奇怪で奇妙な味の商品を買ってくるんじゃないかと…。

サルミアッキ味のうんまい棒を、箱買いしてくるような奴だからな。

そんなベリクリーデが、素直にコンソメ味のポテッコを買ってくるとは…。

「ベリクリーデ…。お前も成長したんだな…」

しみじみ。

期間限定の味って、惹かれるよな。食べてみたくなるよな。

分かるよ。…でもさ。

あれこれ食べたけど、結局、いつもの定番の味が一番美味しいって気づくんだ。

俺もそうだった。

ベリクリーデも、ついに気づいたんだな。

期間限定、という魅惑のワードに惑わされず。

いつでも何処でも売っている、定番の味付けが一番美味しいんだってことに…。

よく気づいた。

…出来れば、もっと早く気付いて欲しかったな。

ベリクリーデの成長を、心から噛み締めていた…のだが。

「だって、ジュリスがコンソメ味好きだって聞いたから」

「…え?」

「一緒にお買い物に言った隊士さんが言ってたよ。『ジュリス隊長はコンソメ味が一番好きなんですよ』って」

「…ん?」

…なんか、話の雲行きが怪しくなってきた。