神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ーーーーー…一方、その頃。

キュレムさんのお屋敷の、通りを挟んで真向かいにある、俺の邸宅では。




俺は夕食後、専属見習い魔導師となったエリトールさんに勧められ。

四階建ての邸宅の、屋上に出てきた。

屋上は、広々とした屋上テラスになっていて。

大きな日除けのパラソルと、ビーチベッドが置いてあった。

俺はそのビーチベッドに横たわって、夜の空を眺めながら、優雅にノンアルコールカクテルを飲んでいた。

「…ふー…。…いやぁ、良い眺めですね…」

屋上にベッドを置いて寝そべり、そこで飲み物を飲みながら、優雅に夜の街を眺める。

下々の生活を眺める、神か天使にでもなった気分。

御殿様扱いされて、どうにもむず痒い思いをしている、キュレムさんと違って。

俺は、新しい生活を満喫していた。

…今のところは、ですけど。

すると、そこに。

「お気に召しましたか、ルイーシュ様」

エリトールさんが、すっ、といつの間にか俺の背後に立っていた。

カクテルのお代わりと、軽いおつまみを持ってきてくれたようだ。

「えぇ、とても気に入りました」

「そうですか。それは良かったです」

キュレムさんと違って、俺はこの新しい家が気に入りましたよ。

新築ですしね。

リビングも寝室もバスルームも広くて、豪華で。

まるで、モデルルームに暮らしてるみたいじゃないですか。

自分の家じゃないみたい。

実際、自分の家じゃありませんしね。

どうせ間借りしてるだけなんだから、ここにいる住んでいる間は、精々くつろがせてもらいますよ。

「何かご不満なことや、ご要望はありますか?」

「そうですね…。既に充分ってくらい良い思いをさせてもらってますが…」

この上文句をつけたり、我儘言ったりしたら、バチが当たりそうですけど。

あ、でも。強いて言うなら。

「夕食に魚介類がたくさん出てましたが、俺、実は魚は苦手なんです」

「…!そうでしたか。…知らぬこととはいえ、失礼致しました。メイドに伝えておきますね」

「いえいえ、いいんですよ」

先に言わなかった俺が悪いので。

「まったく食べられない訳ではないので、たまには出しても良いですよ」

「はい、かしこまりました」

「それから俺、コンビニの新発売のカップ麺を食べるのが趣味なので。3日に一度は出してくださいね」

「はい、かしこまり…。…え?カップ麺?」

俺、なんか変なこと、言いました?

…それよりも。

「エリトールさん、あなたは帰らなくて良いんですか?」

「え?あ、はい…。ルイーシュ様さえ宜しければ、私もルイーシュ様と生活を共にし、学ばせていただきたいと思っています」

「ふーん…」

つまり、メイドと一緒に、あなたもこの家に住むってことですね。

良いんじゃないですか。無駄に広い家ですし。

「でも、俺と一緒に住んで、何か学ぶことなんかありますかね?」

何を期待してるのか知りませんが。

俺、人に教えることに関しては、さっぱりですよ?

そういうのは学院長に頼んでください。