神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

ブラマンジュちゃんは、何をどう勘違いしたのか。

「成程…。ルーデュニア聖王国ではどうやら、魔導師様…それも、上級魔導師様への畏怖と尊敬が足りていないようですね」

なんで、そういう解釈になるんだ?

「でも、大丈夫です。我がキルディリア魔王国に来たからには、上級魔導師様に肩身の狭い思いは、決してさせません」

別に俺、ルーデュニア聖王国で、魔導師であることで肩身の狭い思いをしたことは一度もないけどな。

「上級魔導師様は、我が国の宝です。そんな上級魔導師様…キュレム様にお仕え出来ることを、本当に光栄に思っています」

目をきらきらさせながら。

純粋に、上級魔導師に対する憧れの眼差しで。

ブラマンジュちゃんは、俺の前に跪くようにして言った。

「心から、お仕えさせていただきます。キュレム様」

「…ブラマンジュちゃん…」

「『ちゃん』など付けず、呼び捨てにしてください。あなたは上級魔導師様なのですから」

じゃああんたも、キュレム「様」なんて呼ぶのはやめてくれ。

と言いたいところだが。

この調子じゃ、それを言ったとして、「上級魔導師様にそのような無礼は働けません」とか言いそう。

…頭、カッチカチだな。餅つけるんじゃね?その頭で。

「…そりゃ、どうも…。光栄だな」

「恐れ入ります」

「今日はもう遅いから、部屋に帰って寝て良いよ。…ハーブティーどうも」

「畏まりました。では、先に休ませていただきます」

ブラマンジュちゃんは、丁寧にお辞儀をして寝室を出ていった。

…やれやれ。

ごめんな、ブラマンジュちゃん。

悪いのは君じゃない。それは分かってるんだよ。

君にそういう価値観を植え付けた、この国の教育が悪い。

それは分かってる。分かってる、けど…。

「…ヘドが出る」

自分の生まれた土地、自分の生まれた国に、大して愛着なんてない…つもりだった。

だけど今は、無性にルーデュニア聖王国に帰りたかった。