「えっと…。何か用…?」
「おくつろぎのところ、申し訳ありません。お休み前に、ハーブティーをお淹れしました」
ハーブティー。はぁ、そう。
寝る直前まで、そういう至れり尽くせりなサービスがあるの?
気が休まる暇がないな…。今日はもう、さすがに、何もないと思ってたよ。
「どうぞ」
「ど、どうも…」
ほかほかと湯気を立てる、爽やかな匂いのハーブティー。
気持ちは嬉しいけど、ハーブティーって、何だか漢方薬と歯磨き粉みたいな味がして、あんまり好きじゃな、
…ん?
俺はその時、あることに気づいた。
「…君、なんでまだいるの?」
「はい?」
「家、帰らなくて良いのか?」
この家で働いているメイド達は、住み込みだと聞いていたけれど。
ブラマンジュちゃんは違うだろ。家族の待つ家があるんじゃないのか?
「…?私はキュレム様にお仕えしているのですから、キュレム様のお側を離れないのは当然のことでは?」
「えっ…。じゃあ、君もこの家に住むのか?」
「…ご迷惑でしたか?」
「…いや…。別に、迷惑って訳じゃないけど…」
部屋なら、充分あるし。
ブラマンジュちゃんがあと10人居たとしても、余裕で一緒に住めると思うよ。
だけど、俺が言いたいのはそういうことじゃなくて。
「専属見習い魔導師って…そんなことまでするのか…?」
「師である上級魔導師のお側で、一番近いところで師事させていただく…。それが、見習い魔導師の特権なのです」
「あ、そう…」
ドヤ顔どうも。
ってことは、この…ブラマンジュちゃんって子は。
きっと、相当優秀な魔導師なんだろうな。
今は、まだ銀カード…。…一般魔導師だけど。
将来は、上級魔導師になれるだけの素養がある。
「期待してるところ、悪いけど…。自分、そんなに人にモノを教えるの、上手くないぞ?」
生来、手先も口先も不器用だからな。
ジュリスやシュニィとは大違い。
師匠には、全然向いてない。
「構いません。手取り足取り教えていただこうなどとは考えていません。キュレム様のお側にお仕えして、キュレム様のお姿を見て、学ばせていただこうと思っています」
「…」
見て学ぶ、ってこと?…殊勝なもんだ。
俺の生活なんか見てても、何か一つでも学ぶことがあるのは思えないが…。
「ですから、キュレム様。何でも気になったことはすべて、いつでも、私にお申し付けください。キュレム様のサポートをするのも、見習い魔導師たる私の役目で…」
「…君は、それで良いのか?」
「はい?」
熱心なところ、悪いんだけどさ。
期待に胸を膨らませてるところ、水を差すようなことを言って、本当に悪いんだけどさ。
どうしても…聞かずにいられない。
「ブラマンジュちゃん…。君、まだ遊びたいざかりの少女じゃないか。俺の傍なんかに仕えて、貴重な時間を無駄にして…」
「魔導師を志したその時から、遊びたいなどと思ったことはありません。貴重な時間だからこそ、上級魔導師様であるキュレム様にお仕えさせて欲しいのです」
そりゃどうも。
だけどそれは、俺が「上級魔導師様」だからなんだよな?
「君はそれで良いとしても…。…家族は?たまには家に帰って、家族に顔を見せてやった方が…」
「必要ありません。家族は、私が見習い魔導師に選ばれたことを誇りに思ってくれています」
「…」
「家族に顔を見せる、そんな時間があるなら、魔導書の一冊でも読んだ方が遥かに有意義であると、私を叱るでしょう。ですから、これで良いのです」
ふーん。
この国の人間は…この国の魔導師は…みんな、こんな感じなのかね?
「おくつろぎのところ、申し訳ありません。お休み前に、ハーブティーをお淹れしました」
ハーブティー。はぁ、そう。
寝る直前まで、そういう至れり尽くせりなサービスがあるの?
気が休まる暇がないな…。今日はもう、さすがに、何もないと思ってたよ。
「どうぞ」
「ど、どうも…」
ほかほかと湯気を立てる、爽やかな匂いのハーブティー。
気持ちは嬉しいけど、ハーブティーって、何だか漢方薬と歯磨き粉みたいな味がして、あんまり好きじゃな、
…ん?
俺はその時、あることに気づいた。
「…君、なんでまだいるの?」
「はい?」
「家、帰らなくて良いのか?」
この家で働いているメイド達は、住み込みだと聞いていたけれど。
ブラマンジュちゃんは違うだろ。家族の待つ家があるんじゃないのか?
「…?私はキュレム様にお仕えしているのですから、キュレム様のお側を離れないのは当然のことでは?」
「えっ…。じゃあ、君もこの家に住むのか?」
「…ご迷惑でしたか?」
「…いや…。別に、迷惑って訳じゃないけど…」
部屋なら、充分あるし。
ブラマンジュちゃんがあと10人居たとしても、余裕で一緒に住めると思うよ。
だけど、俺が言いたいのはそういうことじゃなくて。
「専属見習い魔導師って…そんなことまでするのか…?」
「師である上級魔導師のお側で、一番近いところで師事させていただく…。それが、見習い魔導師の特権なのです」
「あ、そう…」
ドヤ顔どうも。
ってことは、この…ブラマンジュちゃんって子は。
きっと、相当優秀な魔導師なんだろうな。
今は、まだ銀カード…。…一般魔導師だけど。
将来は、上級魔導師になれるだけの素養がある。
「期待してるところ、悪いけど…。自分、そんなに人にモノを教えるの、上手くないぞ?」
生来、手先も口先も不器用だからな。
ジュリスやシュニィとは大違い。
師匠には、全然向いてない。
「構いません。手取り足取り教えていただこうなどとは考えていません。キュレム様のお側にお仕えして、キュレム様のお姿を見て、学ばせていただこうと思っています」
「…」
見て学ぶ、ってこと?…殊勝なもんだ。
俺の生活なんか見てても、何か一つでも学ぶことがあるのは思えないが…。
「ですから、キュレム様。何でも気になったことはすべて、いつでも、私にお申し付けください。キュレム様のサポートをするのも、見習い魔導師たる私の役目で…」
「…君は、それで良いのか?」
「はい?」
熱心なところ、悪いんだけどさ。
期待に胸を膨らませてるところ、水を差すようなことを言って、本当に悪いんだけどさ。
どうしても…聞かずにいられない。
「ブラマンジュちゃん…。君、まだ遊びたいざかりの少女じゃないか。俺の傍なんかに仕えて、貴重な時間を無駄にして…」
「魔導師を志したその時から、遊びたいなどと思ったことはありません。貴重な時間だからこそ、上級魔導師様であるキュレム様にお仕えさせて欲しいのです」
そりゃどうも。
だけどそれは、俺が「上級魔導師様」だからなんだよな?
「君はそれで良いとしても…。…家族は?たまには家に帰って、家族に顔を見せてやった方が…」
「必要ありません。家族は、私が見習い魔導師に選ばれたことを誇りに思ってくれています」
「…」
「家族に顔を見せる、そんな時間があるなら、魔導書の一冊でも読んだ方が遥かに有意義であると、私を叱るでしょう。ですから、これで良いのです」
ふーん。
この国の人間は…この国の魔導師は…みんな、こんな感じなのかね?



