神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

新しく自分の家となった、お屋敷に案内され。

俺は、広々としたリビングに通され、そこに置いてあったソファに腰掛けた。

もう、これだけで凄いのなんのって。

リビングなんて、余裕でバスケットボールの試合が出来るくらい広い。

学校の教室よりも広いぞ。

更に、そこに置いてある家具や調度品も、どれも王宮に置いてあるものと遜色ない豪華さだった。

…なんか、一夜にして、王様にでもなった気分だな…。

ソファなんて、ふかふか過ぎて尻が沈む。

豪華過ぎると、逆に、こう…。おうち感がなくて、落ち着かないよな…。

家ってのは、部屋ってのは、ある程度所帯染みてた方が、落ち着くもんだよ。

実家のような安心感って言うか…。いや、俺は逆に実家、落ち着かないんだが…。

…自分、本当にここにいても良いのかな?って気になってしまう。

明らかに場違い。

…それなのに。

「ご主人様。お飲み物をお持ちしました」

さっき、玄関で俺を迎えてくれたメイドさんの一人が。

アンティークみたいな洒落たお盆に、お揃いのティーカップとティーポットを持ってきた。

「あ、は、はい…うん」

「失礼します」

目の前で注がれる、熱々の紅茶。

芳醇な香りが、辺り一面に立ち昇った。

…。

この紅茶もきっと、最高級の…めちゃくちゃお高いお茶っ葉を使ってるんたろうな。

俺は、別に…10パック入り200円のブレンド紅茶でも、全然美味しく飲めるんだけどな…。

「…ご主人様?どうされましたか?」

「え?」

紅茶が入ったのに、全く手を伸ばす様子のない俺に。

メイドさんは、不安そうな面持ちで尋ねた。

「もしかして…お紅茶は好みではありませんでしたか?コーヒーか…お酒の方が…」

「あー、いや…。そういう訳じゃないんだ。ありがとう…」

…そうだな。飲まないのは失礼だよな。

俺は、程良く温められたティーカップに手を伸ばした。

…うん。

紅茶の味なんて、正直よく分からんけど。

凄く高級そうな味がする。ってのはよく分かるよ。

「いかがですか?」

「うん…。美味しいよ」

「それは良かったです」

「…」

「ご主人様、お夕食のリクエストはありますか?」

は?夕食?

「ご主人様のお好きなものや、苦手なものやを教えていただけると…お好みの食事をお出しすることが出来ると思うのですが…」

「…あー…うん…」

「ご主人様は、ルーデュニア聖王国のご出身なのですよね。わたくし、失礼ながらルーデュニアの食文化にはあまり詳しくなく…。…ルーデュニア聖王国では、いつもどんなものを召し上がっていらっしゃったんですか?」

ルーデュニア聖王国で、食べてたもの…?

…と、言えば…。

「…カップ麺…とか」

「はい?」

「コンビニのカップ麺とか、カップ焼きそばとか…。おにぎりとか、肉まんをよく食べてたな…」

「…」

「あと、たまに食べるコンビニのスナックチキンが最高の贅沢だった」

めっちゃ美味いだろ?コンビニのフライドチキン。

ほら、あのレジ横に売ってるアレ。

期間限定で、たまに珍しい味が出たりして。…心が踊るよな。