「…え?俺とルイーシュ2人セットで、一つの家じゃないのか?」
「まさか…。住宅は、上級魔導師お一人お一人にそれぞれ提供されます」
そんな、当たり前のことのように。
マジかよ。
俺、この家一人で住むのか?
違う意味で、孤独死しそう。
「必要な家具、家電製品もすべて揃っております」
「更に、それぞれ、10人ずつの使用人もついておりますので…何でも申し付けてください」
新築一戸建て。家具家電、プール、更に使用人付き。
…やべ。現実離れし過ぎて、頭がクラクラしてきた。
目眩が始まった俺に代わって、ルイーシュが言った。
「へぇー。なかなか立派な家ですね」
「お気に召されたようで、何よりです」
「プールとかいう、全く使わない設備までついてるのが最高ですね。じゃ、俺は新しい我が家を見に行くとしましょうか」
「あ、お供致します」
ルイーシュがさっさと、向かいの家に歩き出すと。
ルイーシュの見習い魔導師のエリトール君が、慌ててその後ろをついて行った。
「それじゃ、キュレムさん。また後で」
「…おー…」
…薄情者め。俺を置いていくとは…。
…でも、ここまで立派なものを用意してもらった以上。
今更、「家なんて要らないから!そこらの安アパートで充分だから!」と言うのも、逆に失礼だし。
それに…ルーデュニア聖王国での、魔導師のぞんざいな扱いに嫌気が差して、キルディリア魔王国に亡命した、と説明した手前。
ここは嘘でも、喜んで受け入れるべきなのだろう。
…よし。
「…よし、よし…。じゃあ、入るか…」
「はい。そうしましょう」
ブラマンジュちゃんが、邸宅の門を開いてくれた。
無駄に豪華で、無駄に広い玄関に入ると。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「うぁほぁっ…」
俺が帰宅するのを、玄関先で待ち構えていたメイドが、左右に5人ずつ。
合計10人のメイドさんに、ぺこりと頭を下げて迎えられ。
俺は、思わず奇怪な声を上げてしまった。
…マジ?
聞いたか?今の。
お帰りなさいませ、ご主人様。だって。
「…そういうの、メイド喫茶でしか聞けないと思ってた…」
「はい?」
「行ったことないけど…」
まさか人生で、「お帰りなさいませ、ご主人様」をしてもらえる日が来るとは…。しかも無料で…。
…なんか、現実のこととは思えなくなってきた。
夢でも見てんじゃねぇかな。
長い夢から目を覚ましたら、いつも通り聖魔騎士団魔導隊舎の、自分の部屋の天井を見つめていた、とか。そういうオチじゃない?
そうだったら、どんなに平和だったろうか。
「…なぁ、これって現実だよな?」
「えっ?…は、はい…」
「…」
俺は、無言で自分の手の甲を抓った。
夢なら早く覚めてくれよ、と強く願いながら、ぎゅむっ、と手の甲の皮膚を抓むと。
「いでででで!」
思った以上に強く抓り過ぎて、痛かった。
「だ、大丈夫ですかっ?何をなさってるんです?」
慌てて、俺を止めに来るブラマンジュちゃん。
畜生…めっちゃ痛かった。
それでも、やはり夢から覚めることはない。
…ってことは、やっぱりこれ…夢じゃないんだ。現実なんだ。
正直、冥界の深海の底にいた時の方が、まだ現実感があったな。
「まさか…。住宅は、上級魔導師お一人お一人にそれぞれ提供されます」
そんな、当たり前のことのように。
マジかよ。
俺、この家一人で住むのか?
違う意味で、孤独死しそう。
「必要な家具、家電製品もすべて揃っております」
「更に、それぞれ、10人ずつの使用人もついておりますので…何でも申し付けてください」
新築一戸建て。家具家電、プール、更に使用人付き。
…やべ。現実離れし過ぎて、頭がクラクラしてきた。
目眩が始まった俺に代わって、ルイーシュが言った。
「へぇー。なかなか立派な家ですね」
「お気に召されたようで、何よりです」
「プールとかいう、全く使わない設備までついてるのが最高ですね。じゃ、俺は新しい我が家を見に行くとしましょうか」
「あ、お供致します」
ルイーシュがさっさと、向かいの家に歩き出すと。
ルイーシュの見習い魔導師のエリトール君が、慌ててその後ろをついて行った。
「それじゃ、キュレムさん。また後で」
「…おー…」
…薄情者め。俺を置いていくとは…。
…でも、ここまで立派なものを用意してもらった以上。
今更、「家なんて要らないから!そこらの安アパートで充分だから!」と言うのも、逆に失礼だし。
それに…ルーデュニア聖王国での、魔導師のぞんざいな扱いに嫌気が差して、キルディリア魔王国に亡命した、と説明した手前。
ここは嘘でも、喜んで受け入れるべきなのだろう。
…よし。
「…よし、よし…。じゃあ、入るか…」
「はい。そうしましょう」
ブラマンジュちゃんが、邸宅の門を開いてくれた。
無駄に豪華で、無駄に広い玄関に入ると。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「うぁほぁっ…」
俺が帰宅するのを、玄関先で待ち構えていたメイドが、左右に5人ずつ。
合計10人のメイドさんに、ぺこりと頭を下げて迎えられ。
俺は、思わず奇怪な声を上げてしまった。
…マジ?
聞いたか?今の。
お帰りなさいませ、ご主人様。だって。
「…そういうの、メイド喫茶でしか聞けないと思ってた…」
「はい?」
「行ったことないけど…」
まさか人生で、「お帰りなさいませ、ご主人様」をしてもらえる日が来るとは…。しかも無料で…。
…なんか、現実のこととは思えなくなってきた。
夢でも見てんじゃねぇかな。
長い夢から目を覚ましたら、いつも通り聖魔騎士団魔導隊舎の、自分の部屋の天井を見つめていた、とか。そういうオチじゃない?
そうだったら、どんなに平和だったろうか。
「…なぁ、これって現実だよな?」
「えっ?…は、はい…」
「…」
俺は、無言で自分の手の甲を抓った。
夢なら早く覚めてくれよ、と強く願いながら、ぎゅむっ、と手の甲の皮膚を抓むと。
「いでででで!」
思った以上に強く抓り過ぎて、痛かった。
「だ、大丈夫ですかっ?何をなさってるんです?」
慌てて、俺を止めに来るブラマンジュちゃん。
畜生…めっちゃ痛かった。
それでも、やはり夢から覚めることはない。
…ってことは、やっぱりこれ…夢じゃないんだ。現実なんだ。
正直、冥界の深海の底にいた時の方が、まだ現実感があったな。



