神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

弟子…。…弟子、ねぇ。

人生で初めてだぞ。

これでも、聖魔騎士団にいた頃、後輩達に魔法の指南したことも、ない訳ではないが。

かと言って…俺、あんまり教えるの上手くないんだよな…。

しかも、ルイーシュの専属見習い魔導師は、エリトール君だが。

自分の専属見習い魔導師は、このブラマンジュちゃんなんだろ?

年下の女の子相手に、何をどう教えれば良い訳?

やりにくいったらない。

しかし、二人共、まったく気まずい様子などなく。

「それては、お二人の新しい家にご案内しますね」

などと言い出した。

「…は?家?」

って何?何処?

今の俺達は、ファニレス王宮のお客人として、紫水晶の間…客室に住まわせてもらっている。

でも、目的である、イシュメル女王との謁見を済ませた以上。

最早、王宮には用はない。

スパイとしては、このまま王宮に居座っていた方が、情報収集に役立つのだろうが…。

「はい。我が国の上級魔導師様には、それぞれ、王都ファニレスの住宅街にイシュメル女王陛下から、邸宅を下賜される決まりなんです」

と、エリトール君が説明した。

「邸宅を下賜…って、家もらえんの?」

「そうです」

マジかよ。

女王様が国民に、お家をプレゼントなんて。

「それは…社宅、とかじゃなくて?学生寮みたいな場所?」

「いいえ。キュレム様とルイーシュ様がご自身で所有していただく、一軒家です。…実際に見ていただいた方が早いですね。ご案内します」

「え、いや、でも…」

「大丈夫です。上級魔導師様なら、今後も、王宮への立ち入りは自由ですから」

いや、そんな心配をしている訳じゃないが。

でも、今良いことを聞いたな。

上級魔導師なら、王宮への立ち入りは自由だって?

じゃ、情報収集の為に王宮に行こうと思ったら、いつでも行けるんだな。

それは便利だ。

「…分かった。ついていくよ」

「はい。ありがとうございます」

俺とルイーシュは、荷物をまとめ。

一週間あまりに渡って暮らした、紫水晶の間を後にした。

あばよ。