こうして。
イシュメル女王との面会の後、一時間後には。
俺とルイーシュは、それぞれ、金色の証明書を受け取った。
証明書には、イシュメル女王直筆のサインがあった。
イシュメル女王の名において、この者を上級魔導師に任命する、というサインである。
ぴかぴかに輝く、その証明書をネームホルダーに入れると。
少しは、誇らしい気持ちになるかと思ったのだが。
…ねずみ色がこがね色になっただけで、それ以上の感慨は湧かないな。
ルイーシュも、つまらなさそうな顔で証明書を眺めていたから。多分、俺と同じ気持ちだろう。
でも、この証明書。
キルディリアの魔導師にとっては、夢のまた夢、全ての魔導師の憧れなんだろうな。
…こんなものが、ねぇ。
そして、上級魔導師の証明書をもらった俺達のもとに。
銀色のカードをぶら下げた若い男女が、訪ねてきた。
「こんにちは。キュレム様とルイーシュ様ですね?」
…えーと。
「…誰?」
「あ、申し遅れました。私は今日から、ルイーシュ様の見習い魔導師になる、エリトールと申します」
「私はキュレム様の見習い魔導師に選ばれました。ブラマンジュと申します」
若い男が先に頭を下げ、その次に女の子の方がお辞儀をした。
…見習い魔導師?
また、よく分からんワードが出てきたぞ。
「何ですか。見習い魔導師って」
「お二人は外国出身の魔導師様なんですよね。…それでは、説明させていただきます」
おう。そうしてくれ。
訳分からんから。
「我が国の上級魔導師様には、後進育成と、身の回りのお世話をする為に、一人以上、見習い魔導師が付くことになってるんです」
「分かりやすく言いますと…師匠と弟子のようなものです」
エリトール君が説明し、ブラマンジュちゃんが捕捉した。
師匠と弟子…。
上級魔導師は師匠として、必ず一人以上の弟子を取らなければならない。…ってことか。
そんな決まりがあるの?聞いてないぞ?
「見習い魔導師に選ばれ、上級魔導師様の指導を受けながら、身の回りのお世話をさせていただけるのは、キルディリア魔王国の魔導師にとって、この上ない名誉です」
「不束者ですが、ご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願いします」
ぺこり、と頭を下げる、エリトール君とブラマンジュちゃん。
…は、はぁ。
そんなの聞いてないし。弟子なんて要らないし。スパイ活動の邪魔だし。
教えるの下手だし。身の回りの世話くらい自分で出来るし。
何より、自分の周りをうろちょろされるのは、目障り極まりない。
故に、「あ、そういうのいいんで。帰ってください」…と、言いたいところだが。
「…」
「…」
俺とルイーシュは、互いに無言で視線を交わした。
長い付き合いだからこそ、分かる。
俺の心の内∶「なぁ、これどうしたら良いと思う?」
ルイーシュの心の内∶「鬱陶しいですけど、我々も上級魔導師に任命された以上、断るに断れないのでは?」
俺の心の内∶「…ですよねー…」
という会話を、アイコンタクトで交わした後。
「…分かった。えーと…よろしく」
そう言うしかないじゃないか。
言えないじゃないか。本当のことなんて。
「はい。こちらこそ宜しくお願い致します」
こうして。
俺達は上級魔導師に任命されたついでに、弟子まで取ることになったのだった。
イシュメル女王との面会の後、一時間後には。
俺とルイーシュは、それぞれ、金色の証明書を受け取った。
証明書には、イシュメル女王直筆のサインがあった。
イシュメル女王の名において、この者を上級魔導師に任命する、というサインである。
ぴかぴかに輝く、その証明書をネームホルダーに入れると。
少しは、誇らしい気持ちになるかと思ったのだが。
…ねずみ色がこがね色になっただけで、それ以上の感慨は湧かないな。
ルイーシュも、つまらなさそうな顔で証明書を眺めていたから。多分、俺と同じ気持ちだろう。
でも、この証明書。
キルディリアの魔導師にとっては、夢のまた夢、全ての魔導師の憧れなんだろうな。
…こんなものが、ねぇ。
そして、上級魔導師の証明書をもらった俺達のもとに。
銀色のカードをぶら下げた若い男女が、訪ねてきた。
「こんにちは。キュレム様とルイーシュ様ですね?」
…えーと。
「…誰?」
「あ、申し遅れました。私は今日から、ルイーシュ様の見習い魔導師になる、エリトールと申します」
「私はキュレム様の見習い魔導師に選ばれました。ブラマンジュと申します」
若い男が先に頭を下げ、その次に女の子の方がお辞儀をした。
…見習い魔導師?
また、よく分からんワードが出てきたぞ。
「何ですか。見習い魔導師って」
「お二人は外国出身の魔導師様なんですよね。…それでは、説明させていただきます」
おう。そうしてくれ。
訳分からんから。
「我が国の上級魔導師様には、後進育成と、身の回りのお世話をする為に、一人以上、見習い魔導師が付くことになってるんです」
「分かりやすく言いますと…師匠と弟子のようなものです」
エリトール君が説明し、ブラマンジュちゃんが捕捉した。
師匠と弟子…。
上級魔導師は師匠として、必ず一人以上の弟子を取らなければならない。…ってことか。
そんな決まりがあるの?聞いてないぞ?
「見習い魔導師に選ばれ、上級魔導師様の指導を受けながら、身の回りのお世話をさせていただけるのは、キルディリア魔王国の魔導師にとって、この上ない名誉です」
「不束者ですが、ご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願いします」
ぺこり、と頭を下げる、エリトール君とブラマンジュちゃん。
…は、はぁ。
そんなの聞いてないし。弟子なんて要らないし。スパイ活動の邪魔だし。
教えるの下手だし。身の回りの世話くらい自分で出来るし。
何より、自分の周りをうろちょろされるのは、目障り極まりない。
故に、「あ、そういうのいいんで。帰ってください」…と、言いたいところだが。
「…」
「…」
俺とルイーシュは、互いに無言で視線を交わした。
長い付き合いだからこそ、分かる。
俺の心の内∶「なぁ、これどうしたら良いと思う?」
ルイーシュの心の内∶「鬱陶しいですけど、我々も上級魔導師に任命された以上、断るに断れないのでは?」
俺の心の内∶「…ですよねー…」
という会話を、アイコンタクトで交わした後。
「…分かった。えーと…よろしく」
そう言うしかないじゃないか。
言えないじゃないか。本当のことなんて。
「はい。こちらこそ宜しくお願い致します」
こうして。
俺達は上級魔導師に任命されたついでに、弟子まで取ることになったのだった。



