ひとつ、ふたつ、ひみつ。


マンションのロビーに入って、誰かに見つかるのはなんとなく避けたくて、私はコソコソと周りを見回しながらエレベーターに乗り込んだ。

五階まで誰とも乗り合わせることなく上昇し、軽い足取りでピョンッと跳ねるようにエレベーターを降りる。

ママには、花恋の家に行くって言ってあるし、私が変なことを口にしなければ、怪しまれたりはしないはず……。多分。

あ、花恋にはアリバイ工作に協力してもらわないと。
今のうちに、メッセージを送っておこうかな。
花恋もあっくんも同じクラスだし、どこかで辻褄(つじつま)が合わなくなるかもしれないから。

「……」

メッセージを打つ指が、スマホの上で止まる。

感想聞かせて。って、言われてたな……。

絶対に、無理。
思い出そうとするだけで、ぐつぐつと煮えそうになってしまうのに。