人間恐怖症の私は、氷と月のような君と共に



——こうして、私の元には、「人が近付いてきたら拒否反応を起こす」っていう面倒臭い体質のみが残った。


『ただし気をつけろよ。一生その体質が消えるわけじゃない。いつか、結局事故事件に巻き込まれる体質、戻ってくるからな』


冷はそう言っていたけど、私は一生消えていて欲しいと思った。

助けてくれた人が、自分のせいでストレス障害になったなんて、そんな事実を作りたくなかった。


そして、その翌日。


私は、クラス全員に体質やストレス障害になったことを伝えにいくことになった。


……我ながら、ストレス障害になった割には、だいぶ理性があるなと思っていた。


でも、私は緊張、不安などで、もう一度ストレス障害になりそうなほど、その時は理性がなくなりかけていた。

吐き気がした。

隣で冷が話しかけてくれていたけど、私には応えれる状況じゃなかった。冷には申し訳ないけれど、私は全てをスルーしたのだ。

……クラスメイトが優しくて、本当に良かった。

全てを許して、わかってくれて、しかも他のクラスの子には言わないなんて変な希望を承諾してくれた。


席も少しだけ離すことも考え出してくれたし、本当に良かった……。

……その日は、私は人生初めての告白をされた。

他のクラスの子だったけど、近づいただけで身構えてしまったから、丁重にお断りさせていただいた。

異変が起こったのは、その放課後。


全てを冷に伝えようとわくわくしながら門のところまで行った私は、言葉を失った。


いつも毎日門で待っているはずの冷が、その日はいなかった。

家にまでストーカーかと勘違いするほどついてくるのに、家にもいない。


私が勉強している時にタイミング悪くやってきて、勝手に私の部屋の窓を開けて入ってきて、勉強の邪魔をしてくる。

顔では嫌な顔をしながらも、結局は待ち望んでいた私がいた。

だから、前までは鍵もカーテンも閉めていた自分の部屋の窓を、今では鍵もかけずカーテンも閉めず、勉強をしていても冷がやってこないかと空を仰いでいるのに。


……来なかった。


その次の日も、一ヶ月後も、ずっと来なかった。




——私、何かしたっけ?



** **


今、冷は何をしてるんだろう。

元の姿に戻って、のんびりしているんだろうか。

あの中1の頃から一年が経った今でも、私の元に来ない。