ぐいっと手を引かれてついていくけれど、内心心臓がバクバクしていた。
「え、えっと……その、ごめんね」
「何が」
「その……私……わざわざ教室まで迎えに来てもらわなくて大丈夫、だよ。ごめんね」
ぴたっと冷が足を止めた。
「門の前とかで待っててくれて大丈夫だから」
「門の前だと、お前歩くの遅いから、めっちゃ待つことになる」
図星。教室から門まで私の足だと結構かかってしまう。
「……っ、でも……教室で待っててもらうと……目立っちゃう、というか……」
「いつも目立ってんじゃん」
「えっ⁉︎」
私、いつも目立ってるの⁉︎
「人に近づきたくないんだろ」
「あ……」
やっぱり、何でもお見通しなんだ。
「……うん、そうだね」
フラッシュバックした、血だらけになった菜々の姿を頭の中から吹っ飛ばしたい。
菜々は、私の記憶の中では笑顔でいてほしいのに、思い出すのは思い出したくもない血だらけの姿。
頭痛がしてきて、頭を押さえた。
……そうだ、今日、精神科行かなきゃ。
「……ごめん、冷。今日、用事あるから……」
そう言っていつも通っている道とは反対の方向へ歩き出した。
そしたら冷もついてくる。
「……ごめん、ついて来ないで……ちょっと大事な用事なの」
「顔色悪いから、大丈夫かと思って」
「大丈夫だよ」
そうちょっと強く言うとようやくついてこなくなったから、私はゆっくりと病院への道を歩いた。



