人間恐怖症の私は、氷と月のような君と共に




「……あれ?」


爽くんが急に首を傾げた。


「男子が苦手なん、じゃ……」


爽くんの視線を追っていくと……れっ、冷⁉︎


あわわわわわ、そうだった! 冷は擬人化してるから死ぬことはないから、大丈夫なんだよ、なんて……男子恐怖症だと感違いしている爽くんには言えないっ。


“男子”なんて括りじゃほんとはなくて、“人間”全般が苦手。



クラスメイト以外しか知らないけど、そろそろ隠すのも限界かなぁ……。


だって、クラス替えとかあったら、今のクラスメイトとはバラバラ。知らない子も入ってくる。


だとしたら……、同じクラスで、このトラウマを話さないと言うことは不可能だ。


席だって通路挟まずに隣だし、体育とかでペアとかもあるだろうし……うっ、そろそろ克服すべき⁉︎

でも、克服ってどうやればいいんだろう……単に、恐怖心を抑えて無理矢理人と近づくって言うのは、心に負担がかかりそうで嫌だしな〜……。そもそも嫌いなものや苦手なものを克服なんて、やったことないから、どうやったらいいのかもわかんないや。


ほんと、私、どうしたいんだろう。


「離れろ」


——ビクッ


聞いたことがないくらい低い爽くんの声で、現実に引き戻される。



爽くんが、私の後ろの冷を、爽やかないつもの姿からはかけ離れた冷たい瞳で見ている。


——……え……?


「蒼空は男子が苦手なんだ。軽々しく近づくな」


「そ、爽く」




——キーンコーンカーンコーン……


「あっ、予鈴!」


あと少しでHRが始まっちゃう!


「ごめん、もう行くね!」


そう言って、爽くんと一緒に校舎へと走っていった。


私が酷いことを冷にしちゃったのなら謝りたいから、あとで質問攻めしなきゃ!



** **


「さよならー」


放課後。


鞄を肩にかけて立ち、教室を出る。


「キャアアアアアアアアアアアーーーーーー‼︎」


「ひゃああっ」


悲鳴が聞こえ、思わず私は耳を手で覆い、私の鼓膜を守る。


あたりを見回すと、女の子達が目をハートにして……私の前にいる冷の動きを追っていた。


「蒼空」


「え、あ、え……。何、で……」


「迎えに来た。考えてみりゃわかんだろ」


「キャアア‼︎」


「迎っ、え……⁉︎ なにそのかっこいい行動‼︎」


私も驚いた表情のまま固まっているけど、ドキドキし始めて、頬が熱く、火照ってくる。