人間恐怖症の私は、氷と月のような君と共に



「俺がいるのは当たり前。で、見えるようになったのは、ちょっとな」

「え?」

「アホなんてすぐ欺けるのさ」


ドヤ顔をしてる冷。ああ……これは聞かない方がいいやつだ……。

でも、なんとなくわかる。


冷の魔法かなぁ……いいなあ、私にも欲しい、それ……。


……いや、私がもらっても、いいように使えないかぁ……。


「でっ……な、なんで前、急にいなくなったの……?」

それが、気になっていた。

何か、私……嫌なことをしたんじゃないかって……。


「……」


「あ、い、言いたくないなら、いいんだけどっ……」


「あっ、いた! 蒼空!」

「えっ……」


名前の通り爽やかな声が私の後ろから飛んできた。思わずパッと振り向く。


「爽くん⁉︎」


「はは、探した……」


そう言って爽くんが駆けてくる。


そ、爽くんっ……。


汗が顎からぽたぽたと滴っている。心なしか息も上がっているように見えた。


慌てて、探してくれた、のかな……?


爽くんが立ち止まると、汗がぽたっと一滴落ちた。


輝く太陽が、爽くんの髪をきらきらと縁取っている。


じっと私を見つめる瞳から、その整った顔から、目が離せなくなった。



「蒼空」


爽くんはきゅっと下唇を噛んで、バッと頭を下げた。



「っ、え?」


「ごめん」


頭を下げているせいでくぐもって聞こえる爽くんの声が、すごく震えていた。



「俺……軽率だった。




近づいてほしくない子とかいるのにな。男子が嫌いとか。なのに、軽々しく近づいてごめん……」



「え……あ、そんな、謝らないで……。爽くんのせいじゃないよ。私が、うじうじしてるから……」




「うじうじ?」



バッと顔を上げた爽くんが、これまでにないくらい真剣な瞳で私を見ていた。


その瞳と目が合っただけで、胸を射抜かれたような気がする。



「そんなことないよ」


爽くんははっきりと否定した。



「そんなことない。蒼空は、すごく強くて勇気のある人だよ」


…ドキッ


「……、〜〜〜っ、あ、ありがとう……」


な、何今のドキって‼︎

わ、私爽くんのことそう言うんじゃ……。

爽くん、自分のペースにして、ドキってさせるのがうまいな……誰にでも爽やかで……誰か勘違いしちゃうよ。誰でもあんなのドキってしちゃうし。ああ言う人かな、かっこよくて罪な人って。友達としてでもかっこいいって、もう罪だよ……。


「男子が苦手なんだよな。気をつける……」


あああ、違うんだよ。違うんだよ爽くんっ。


弁明したいけど、体質のこと言わなきゃいけないから、いえないよ……。


体質のことを言って、怖がらせたりしたら……悲しいし。



せっかくの……友達だから。