ああ。
もう、嫌になってしまう。
毎日毎日こうして通院するのも、
この診断結果を見るのも。
私の半径一メートル以内に入ってこないで。
※きっとありえないこともあると思いますが、これはファンタジーということを忘れないでください。
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今日も学校。
別に、嫌いじゃない。
でも、気が乗らない。
だって、学校には人がいる。
私の半径一メートル以内に入られると、急に胃の辺りがずしっと重くなる。足取りも重くなって、呼吸がしにくくなる。
私、伊江蒼空。
中学2年生で、人が怖い。
家族は行けるけど、友達でも無理。でも友達はこんな体質の私をわかってくれてるから、大丈夫。
最近できた友達の1人。初めてできた男子の友達。
岩生爽雨くん。
私は「爽雨」って言いにくいから、「爽くん」って略して呼んでいる。
でも、爽雨くんは……こんな私の体質を知らない。
毎日、お守り的な感じで、でも中身は全くお守りじゃない。むしろ逆なカルテを鞄に隠し持っていることも、知らない。
こっそりと、出してみる。
一年前。中1の頃。
私は、ストレス障害と診断された。
……私はよく、事故に遭いそうな人を見かけた。
そうしたら、迷いもなく私は助けた。
たまにそのせいで軽く怪我するけど、全く気にならかった。
でももちろん、助けられない人もいた。
ただ、ある日……。
車に轢かれそうだった同年代くらいの女の子を助けた。
彼女は樹来菜々(なな)という女の子だった。
私は、彼女が渡っている横断歩道の向こうから車が来ていることに気づいた。
気付いたら体が動いていて、菜々を思いっ切り突き飛ばした。
運がいいのか悪いのかで、丁度あった石に躓いて、私は思いっ切り転倒した。
そのお陰で、多少の擦り傷ほどで私は助かり、菜々も助かった。
菜々は病院で、異常がないとわかった時、私に泣きながらお礼の言葉を並べた。
私は……本当に助かってよかったと、ホッとした。
私と菜々はそこで仲良くなっていき、友達となった。
菜々と過ごした日々は、充実していて、月日があっという間に過ぎてゆく。
そして、あの日。
『ねえ蒼空!』
キラキラと輝く瞳を一層キラキラさせながら、菜々があるとき言った。
『夏祭り行こうよ! 浴衣着て!』
『浴衣……!』
きっと私も、今までで一番目がキラキラしていたと思う。
友達なんていなかった私は、いつもそういうイベントに参加してこなかった。
だから……調子に乗っていたのかもしれない。
今でも、覚えている。
菜々と私の、そして私の一生に関わる、重大なあの日のことが、まだ瞼の裏にまざまざと蘇ってくる。
菜々と私の一挙手一投足だって、言える。
全て、欠けたとこもにほどに、覚えている。
——一生忘れていたいと思う、あの瞬間でさえも。



