──暗闇の部屋の中で、そればかりを考えていたら、時計の針がカチッと大きく響いた。

うっすらと見える時計は、夜中の1時になっていて、寝なきゃいけない焦りも生まれだす。
だけどそれよりも、スマホくんたちがわたしの思考をうめつくしていた。

ゆっくりと起き上がり、寝転がる3人に目をやってみる。明華くんと莉雨くんは丸くなり寝息をたてていたけれど、

「眠れない?」

机の引き出しのところに寄りかかる碧くんは、目を開けていた。

「つい、どうしたらいいのか考えちゃって」

2人を起こさないように碧くんの方へ体を向けて小声で答えれば、碧くんは静かに立ち上がり、わたしを見下ろす。

「碧くん?」

じっと見上げれば、そっと碧くんが顔を寄せてきて……

「っ……」

つい体を引くも、コツン、と碧くんの額がわたしの額にあたった。

「あ、碧く──」

「……もし、戻れなくてもぼくはこのままそばにいたい。ただ青空のスマホだからって理由じゃなくて……青空のことが好きだから、そばにいたい」

碧くんはゆっくりと離れると、暗い部屋の中でも表情がわかるくらいの視界の中でも、薄く微笑んだのが見えた。
その表情にドキリと鼓動がはねると同時に、碧くんはわたしの頬に手をそえる。

「スマホの姿なら、こうして自分から触れることは出来ないけどこの姿なら……いつでも君に触れられる。真っ直ぐ、青空の笑顔が見れる」