わたしのスマホくん


──え?ほ、本当になるわけないよね?

「こっちに、両手出してもらえる?そこに戻るから」
「え、あぁ……」

戸惑いながらも、受け止めるように手を器にするように合わせると、碧くんはにわかにほほえむ。

「じゃ、戻るね」

どうやって……そう思った瞬間、わたしの視界がいっきにまぶしくなって──

つい目をつむれば、手のひらにわずかな重みが……。
ゆっくりと目を開けて視線を手のひらにうつせば、


「っわたしのスマホ!」


間違いなく限定デザインのスマホがあった。

「充電は……97%」

わたしが充電した時よりちゃんと増えてる。
でも満タンになったって言ってたけど、それは碧くんが動いたから減った?ってこと?

ひとり首をかしげれば、また目の前がまぶしくなり、

「……ふぅ、これで信じてもらえたかな」

そして碧くんが人の姿になったと同時に、手のひらには何もなかった。

──こ、これはさすがに……疑う余地がない……。

「……信、じた」

立ったまま伸びをする碧くんに、わたしは頷いてみせた。