わたしのスマホくん



「──ぼくたちは皆スマホだよ」


どう誤魔化すべきなのか、スマホくんたちも顔を合わせるなか、碧くんだけが真っ直ぐヒロを見つめ、本当のことを言い放った。

「あ、碧くんっ」

でもそんなこと信じるわけないの。わたしが最初に碧くんと会った時みたいに。
非現実的すぎて信じる方がむずかしい、って。

静まる部屋の中で、スマホくんたちを目だけで見れば、言っちゃった……っていう空気感がすごい伝わってきて。
莉雨くんなんて、水はもうないのにまた震えてて、明華くんは顔をおおっていた。
桃李くんも円華くんもヒロを見つめながら、汗をにじませている。

「スマホ……ってさすがに言い訳にならないでしょ。非現実すぎて逆に信じられない」

やっぱり。最初のわたしと同じ。そう思うのが普通なんだよね。

──でも、5人をスマホであり人として接している今は……信じてもらえない側の気持ちが分かる。どうやったら信じてもらえるのかなって。

「……はぁ、正体言っちゃったし、僕らの存在を知られた今、その場しのぎのことはもうしなくていいわけでしょ?」
「あ、そっか!戻れば──戻れないんだったぁ!!まどかのばか!」
「僕はばかじゃない。ふざけんなお子ちゃま」
「スマホになればいいって流れだったじゃん!でも今は戻れないし!ヒロにも証明できない!」

……碧くんの時のように目の前で見せれたら、疑いようのない事実に信じてくれるかもしれない。でも、今は戻れない。だから証明することが出来ない。