「なーんか様子がおかしいと思ったら……こういうこと」
「ヒロ!?」
ゲームを片手に驚くわたしをチラリと見たヒロは、ドアに寄りかかった。
「姉ちゃんの学校の女子が登校中、すごいイケメンが来たとかさわいてで、泉って名字出してたから……もしかして彼氏でも出来たのかと思ってたけど」
ヒロは5人をまじまじと見て、目を細める。
「だれが姉ちゃんの彼氏?」
にらむような視線で5人にたずねるヒロに、
「ボク!」
「僕」
「ぼく」
「じ、自分も」
「ウソを付くなウソを!」
大きく挙手をする桃李くんと円華くんと、
小さく挙手をする碧くんと莉雨くんに、突っ込む明華くん。
この状況に、いつも通りすぎる……。
「……ふうん?ウソってことは、だれも彼氏じゃないんだ?」
「でもボクはそらのおむこさんになるの!うやまえ!」
「は?」
ヒロ……円華くんと全く同じリアクションだ。
桃李くんも桃李くんでうやまえスタイルをやめないから。
「意味わからないんだけど。しかもなんで姉ちゃんが男を家にあげてるの?しかも5人……夏休みに何かあったわけ?」
う、ヒロの視線が痛い。
夏休み前から人化は起きていたけど、5人に増えたのは夏休みだし……だからといってこれを説明したところで信じるわけがない。
言ってもヒロには頭のおかしいお姉ちゃんって思われちゃう……!
どうしたらこの場を切り抜けられるんだろう。
返事をしなきゃ、と思うと余計に言葉が出てこない。



