わたしのスマホくん


なんて、信じたい気持ちが生まれつつあるけど……まだ完全には信じちゃいけない気もして。

わたしはしょんぼりしている碧くんに目を向けた。

「じゃあ……充電していたはずなのに、それがどうしてわたしの部屋に移動しちゃったの?」

質問して100%信じるしかない何かを聞き出してみるしかない。

「充電してもらって君が寝た後、満タンになったから、早く主である君の部屋を見たくて。過充電もよくないしね」

充電器から自分を抜いて、コンセントから充電器も取ってくれてた、と。

「ぼくが君のスマホだって、信じてくれた?」

真顔なのかほぼ無表情でわたしの顔をのぞき込む碧くん。

「も、もう一つ聞きたい!」
「いいよ」

一度床に座り直し、わたしは確信を得るための質問をした。

「一度、スマホの姿に戻ってみてもらえる?」

現実ではこんなこと出来るわけないんだから、このような言葉を発することもない。
漫画やアニメなら別だけど。

「……分かった。今戻るね。でもすぐこの姿に戻ってもいい?」

碧くんはそう言って立ち上がった。
あまりにもすんなり頷かれ、わたしは思わず正座になる。