わたしのスマホくん


「へぇ、なんか昨日女子たちがめっちゃさわいでたーって話きいたから、イケメンくんたちって誰の知り合いかなーって思ってたら、うわさ通り泉ちゃんの知り合いだったんだぁ」

っ……わたしがほぼ話すことない女子グループが校舎から出てきた。ほとんど話したことないからか、泉ちゃんって呼ばれてるわたし。

「たしかに皆イケメンじゃん」
「どの子か、彼氏とかなの?」
「教えてよー。皆も知りたいよねー」

スマホくんたちを先に囲んでいた女子たちに投げかけ、頷く女子たちを見てわたしは汗をにじませた。こういう時に団結してほしくない。

「い、いや、そういうんじゃなくて……」

絶対、スマホとは言えない。
でも、彼氏とかでもないし……どうこたえるべきなの?

悩んでいれば、腕の中にいた桃李くんが離れていった。すると碧くんたちがわたしを隠すように囲む。

「ぼくは青空のものだよ」
「ボクだってそうだもん!」
「自分も」
「まぁ、僕もって言ってあげる」
「俺も今は青空のだな」


──え。

静まる校門前。

そ……そんなことを言ったら話がややこしくなって──

「そぉーらぁー」

聞こえていたのが校舎にいる仲のいい友達や女子からも名前を呼ばれてしまう。

「っ!?ち、ちがうの!本当に変な関係ではなくてね!?」
「一緒に住ん──」
「帰ります!帰ります!お友達でーす!」

碧くんがとんでもないことを言いそうになったのを機に、5人の背中を押して走った。