わたしのスマホくん

足を止めた碧くんを不思議に思っていれば、無表情な瞳と目が合う。

「まだやってなかった」
「え?なにを?」

急すぎてなんのことかさっぱり……。

「青空、ぼくもドキドキはかりたい」
「え、今!?ちょっ……ちょっと待──」

待ても聞いてくれず、手を引かれ碧くんが近づいてくる──他の人もいるのに……!?
もう碧くんの顔がせまってきたから、数秒のハグなら!と目をつむった。でも──

「ちゅーするの?」

『は!?』

かわいらしい声と驚いた声に目を開ける。
わたしの前を歩く桃李くんが振り向いていて、先に行っていた皆がダッシュで戻って来た。

「ちょっと!!」

ま、円華くんこわいって。

「ちがっこれはそういうことではなくてね──」
「ぼくはしてもいいよ?」

──え!?そんなこと無表情で言われてもっ!!

「は?なら僕もする」

え?

「ボクも!」
「えー……自分もしたい。あ、でも緊張で熱くなってきた」

こうなれば、たよれるのは明華くんだ!

「ん?俺もしたいから、止める気はないです」

う、うそぉ……。
誰も止めてくれない上に"誰からがいい!?"なんて聞かれる始末。
だからドキドキしすぎて心臓があぶなくなることが増えている……ほぼ毎日。
それはちょっと悩ましいけど、わたしと居たいって言ってくれることは嬉しいし……わたしも皆がいないとさびしくなる。

「……ちゅーはだめ。ハ、ハグまでね。帰ったら皆ぎゅってするから」

『青空だいすきっ』

全く同じ反応に返事。
まぶしいくらい素直に好きっていう気持ちを出してくれるスマホくんたちに、少しずつでもわたしの好きを返していけたらいいな──




fin