時折スマホが熱くなっていないかを確認しつつ、それなりに充電が増えただろうと電源をいれてみた。


「……あれ?」

つかない。

「え?え、なんでっ……」

焦りながらも次々に電源ボタンを押していく。

だけど明華くんも、円華くんも。莉雨くんも桃李くんも──碧くんも、反応はなく真っ黒な画面にただわたしの顔がうつるだけ。

いやな鼓動の音を感じながら、なんの反応もないスマホを持つ手が力なく床についた。

うそ、うそだっ……夢ならはやく覚めてほしい。そう思いながらも、電源を入れ続ける。

"強制的に戻った反動みたいなので今度は人になれなくなったりする可能性もでてくる気がする"──碧くんが言っていたことが頭によぎり、視界が涙でかすんでいく。

「……っ」

ボロボロとこぼれていく涙に、碧くんがいたらきっと拭ってくれるんだろうな。
明華くんなら、背中をさすってくれる。桃李くんはぎゅっとしてくれる。莉雨くんならそっとそばに来てくれる。円華くんは撫でてくれる。


なのに……わたしの前にはだれもいない。
昨日、あきらめないってそばにいたいって言ってくれたあの笑顔が──