考え込んでいれば、隅っこにいたわたしと莉雨くんの周りに、皆集まっていた。
視界全部に桃李くんの顔がうつり、驚いて目を見開けば、桃李くんはにっこりと笑う。

「そら、こーんな険しい顔してたよ?ボクたちのことを考えてくれるのはうれしいけどね」

わたしの顔を真似ようと険しい顔つきになる桃李くん。

「今は充電をつなぎつつ、戻れるか試すしかないんだ。最後はなるようになる。例え、スマホに戻れて人化が出来なくなっても、なれるまであきらめないからさ。そんな顔しないでくれよ」

明華くんは、な?と肩を優しくたたいてくれた。
その隣で円華くんと碧くんが頷く。

「当たり前。もうスマホとしてだけじゃなく、この姿でも青空のそばにいること、絶対やめたくないからね」
「ぼくも、あきらめたりしない」
「それは自分も」
「ボクもー!ぎゅーってしたいしされたいから、どっちにもなれるようにしたいもん」

暗くなっていた空気をかき消すかのように、スマホくんたちは笑顔を見せてくれる。
一番不安なのは、皆なのに。

「……ありがとっ」

目の奥が熱くなったのをおさえ、わたしも笑って見せた──


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ヒロの帰宅後はお母さんたちが帰るまで遊んでいたけど、この日もスマホへ戻ることはことはなかった。

そして、それは次の日も戻れることなく過ぎていった。