わたしのスマホくん


「……今も戻らないし、なるべくそらのそばにいて様子をみるくらいしか、ボクたちに出来ることはないんだよね」
「ああ……そうだな」

さすがの桃李くんからも、いつものかわいらしい笑顔は見られない。

「あーあ、ヒロ早く帰ってこないかな。ボクが一緒に遊んであげるのに」

あいにくヒロは、朝からサッカーの練習に行っている。雨だから体育館でやるらしいけど。行く時に『いつもよりは早く帰るから』って言ってたから、ヒロが加われば少しは気がまぎれるかもしれない。
それまでは、このままなるべく近くにいて──

「莉雨、そろそろ僕と交代してよ」
「俺も……ヤバいな」

皆はスマホ同士だから、互いの残り%が見えているのは知っているけど、わたしには見えない。だからどの子がどのくらいなのか、細かな把握は一切出来ない。

起きた時に『充電は大丈夫?』って聞いたら皆して大丈夫って笑顔を見せてくれた……。
今日明日が休みでよかったって。学校だったらどうしようもなかったから、と。

そこにはわたしも同じことを思った。でも、このまま休みが明けてしまったら、家に残す5人とも……充電が減るだけになってしまう。

だから一刻もはやく、戻れる術を──

「そーらー」
「っ!?」