オタ友ができました。




「………なんか、すごい出逢いをしちゃった気分だ……」

夜、脱衣所で髪を乾かしながらつぶやいた。

セミロングの髪は特に染めたりはしていない。

顔はぼんやりしている。

結局、お母さんが帰ってくるまで鈴さんの作品を読みふけっていて、時間感覚がなくなってしまっていた。

うん、鈴さんの作品は一日に読む量に制限つけないと、寝食忘れて読んじゃいそう。

一日一作品とか、半分まで、とか。

だって今、読み終わったばかりの二作品をもう読みたくて仕方なくなっている。

鈴さん――プロフィールページからわかったのは、登録したのは今から二年前、書籍化の経験はない、つぶやきのアプリとかブログとか、貼付されているリンクはなかった。

年齢も、性別もわからない。

ただ、私はひどく鈴さんの作品にほれ込んでいることだけは確かだ。

まさか夏休み初日にこんな出逢いがあるなんて。……いや、出逢ったと思っているのは私の方だけだから、出逢いという言葉を使うのもちょっと違うかもしれないけど。

でも、そう言いたかった。

言うなら、運命とか。

鈴さんが男の人でも女の人でも関係ない。

鈴さんの作品との出逢い、これは私の運命だ。

……誰に言うでもないから、私だけはそう思っていてもいいだろうか。

髪を乾かし終えて、リビングに戻る。

お父さんはお酒を飲まない人で、食後のコーヒー飲みながら本を読んでいる。

お母さんはハーブティーを用意して趣味の刺繍をしていた。

「ねー、アニメ見てていいー?」

二人に訊くとお父さんから「いいぞー」と返事があった。やった。

私はテレビ台横の本棚の奥の方からDVDを取り出してセットした。

テレビ前のソファを一人で陣取って、再生ボタンを押す。

始まったのは、以前放送されていたバスケアニメ。

「お前本当それすきだな。結構前のやつだろ?」

「もちろん」

お父さんは呆れ気味に言うけど、好きなことに変わりはない。

このバスケアニメは、私が小学生の頃放送されていたものだ。

そのDVDをお小遣い&お年玉貯金で中学生になってから買って、時間があれば見ている。

ケータイ小説を読むのと同じくらいの私の趣味、ケータイ小説にハマる前からの私の趣味――そう、私はオタクだ。