「きゃー! ふたりともめちゃくちゃかっこよかった!」

演技を終えると、リンクサイドで真紀先生がガバッと飛びついてきた。
晴也先生も珍しく高揚している。

「ほんとだよ、なんなんだお前たち。普通は練習の8割できれば上等なのに、練習よりも試合の方がいいってどういうこと?」

私と晶は息を切らしながら顔を見合わせた。

「なんか、すっごく楽しかった」
「俺も。やべー、もう絶対にシングルには戻れない」
「あはは! 私も」

そう言って笑いながら4人でリンクをあとにする。
得点のことを忘れるくらい、私たちは浮かれていた。

結果、ショートプログラムは2位。
1位はあの今泉・川崎ペアだった。

「結も晶も、リンクで滑るたびにうまくなってる。この試合中もな。だから明日のフリーも、余計なことは気にせずに思い切り楽しめ」
「はい」

フリースケーティングでは、ふたりの大切なプログラム『さくらのうた』を滑る。
そう考えただけで、早くも私はドキドキとワクワクを抱えていた。