ホテルにチェックインすると、荷物を預けてすぐに会場のリンクに向かう。
初日の今日は、アイスダンスのリズムダンスとペアのショートプログラム。
明日は男子シングルのショートプログラムとアイスダンスのフリーダンス、ペアのフリースケーティングと女子シングルのショートプログラムが行われる。
まずはアイスダンスを観て、ふたりの息の合わせ方や、踊りで魅せる表現を学んだ。
「なんか大人の世界だね。ジャンプやアクロバティックな技がない分、スケーティングや表現で差をつけられるんだね」
「ああ。氷上の社交ダンスって感じだな」
「でもペアにもこういう要素って必要だよね」
「うん……」
真剣にそう話し合うけど、私も晶もどこか気恥ずかしくなって口ごもる。
(こんなことではいけないんだろうな。もっと割り切って大人にならないと)
そう考えていると、ペアのショートプログラムが始まった。
3組のペアが出場する中、飛び抜けてあるペアが上手だった。
「私たちと同年代かな」
「男性が19歳で、女性が18だったかな? 今泉・川崎ペアだ」
「来年もジュニアのままなら、私たちのライバルになるね」
「ああ。来年は俺たちも互角に戦えるようにならないとな」
晶に言われて私は気持ちを引きしめる。
目の前で繰り広げられるダイナミックなリフトやダブルツイストに、本当にこんなことが氷の上でできるんだ、と感心した。
「なんか……、ものすごいレベルの違いを見せつけられた気がする。追いつけるのかな」
気弱になってそう呟くと、左隣に座っていた真紀先生がこちらを見た。
「でもスピードは晶くんと結ちゃんの方が格段にいいわよね。リンク中の空気をかき混ぜる勢いで、次々とジャンプやステップを流れるように繰り出すんだもん。大げさな予備動作もなくサラッとやってのけちゃうの。スピンの回転も速いし揃ってる。あなたたちに足りないのは、リフトとツイストリフトだけよ」
「いや、でも、そのリフトとツイストが超難関ですよね?」
「まあね。だけど絶対にあなたたちならできるから。見てらっしゃい! 私と晴也が必ず育て上げてみせるわ」
力強く頷く真紀先生と晴也先生に、なんだか勇気をもらった気がした。
明日はアイスダンスとペアの他に、男女シングルも見られるのを楽しみに、ホテルに戻る。
夕食を食べてから部屋でミーティングをし、改めて今後の課題を4人で話し合った。
「来年は必ず全日本ジュニア選手権に出るわよ。リフトは、難易度は低くても工夫してカバーできる。ツイストもダブルで手堅くいきましょう。その分、サイド・バイ・サイドとスロージャンプはあなたたちの大きな武器になるわ。ソロジャンプはトリプルルッツとトリプルトウループのコンビネーションを、スロージャンプもトリプルサルコウを目標にね」
真紀先生の言葉に私は思わず、ひえっと仰け反る。
だけど晶は、そんな私にしっかりと頷いてみせた。
「結、一緒にがんばろう。俺たちなら絶対にできる」
真っ直ぐにそう告げる晶は、私に力を分けてくれるようだった。
「うん、がんばる。晶と一緒ならできるよね」
「ああ」
決意を固める私たちに、真紀先生と晴也先生も笑顔で頷いた。
初日の今日は、アイスダンスのリズムダンスとペアのショートプログラム。
明日は男子シングルのショートプログラムとアイスダンスのフリーダンス、ペアのフリースケーティングと女子シングルのショートプログラムが行われる。
まずはアイスダンスを観て、ふたりの息の合わせ方や、踊りで魅せる表現を学んだ。
「なんか大人の世界だね。ジャンプやアクロバティックな技がない分、スケーティングや表現で差をつけられるんだね」
「ああ。氷上の社交ダンスって感じだな」
「でもペアにもこういう要素って必要だよね」
「うん……」
真剣にそう話し合うけど、私も晶もどこか気恥ずかしくなって口ごもる。
(こんなことではいけないんだろうな。もっと割り切って大人にならないと)
そう考えていると、ペアのショートプログラムが始まった。
3組のペアが出場する中、飛び抜けてあるペアが上手だった。
「私たちと同年代かな」
「男性が19歳で、女性が18だったかな? 今泉・川崎ペアだ」
「来年もジュニアのままなら、私たちのライバルになるね」
「ああ。来年は俺たちも互角に戦えるようにならないとな」
晶に言われて私は気持ちを引きしめる。
目の前で繰り広げられるダイナミックなリフトやダブルツイストに、本当にこんなことが氷の上でできるんだ、と感心した。
「なんか……、ものすごいレベルの違いを見せつけられた気がする。追いつけるのかな」
気弱になってそう呟くと、左隣に座っていた真紀先生がこちらを見た。
「でもスピードは晶くんと結ちゃんの方が格段にいいわよね。リンク中の空気をかき混ぜる勢いで、次々とジャンプやステップを流れるように繰り出すんだもん。大げさな予備動作もなくサラッとやってのけちゃうの。スピンの回転も速いし揃ってる。あなたたちに足りないのは、リフトとツイストリフトだけよ」
「いや、でも、そのリフトとツイストが超難関ですよね?」
「まあね。だけど絶対にあなたたちならできるから。見てらっしゃい! 私と晴也が必ず育て上げてみせるわ」
力強く頷く真紀先生と晴也先生に、なんだか勇気をもらった気がした。
明日はアイスダンスとペアの他に、男女シングルも見られるのを楽しみに、ホテルに戻る。
夕食を食べてから部屋でミーティングをし、改めて今後の課題を4人で話し合った。
「来年は必ず全日本ジュニア選手権に出るわよ。リフトは、難易度は低くても工夫してカバーできる。ツイストもダブルで手堅くいきましょう。その分、サイド・バイ・サイドとスロージャンプはあなたたちの大きな武器になるわ。ソロジャンプはトリプルルッツとトリプルトウループのコンビネーションを、スロージャンプもトリプルサルコウを目標にね」
真紀先生の言葉に私は思わず、ひえっと仰け反る。
だけど晶は、そんな私にしっかりと頷いてみせた。
「結、一緒にがんばろう。俺たちなら絶対にできる」
真っ直ぐにそう告げる晶は、私に力を分けてくれるようだった。
「うん、がんばる。晶と一緒ならできるよね」
「ああ」
決意を固める私たちに、真紀先生と晴也先生も笑顔で頷いた。



