「ただいま」
「おかえり。遅かったわね」
帰宅すると、心配そうにお母さんが玄関に出迎えに来た。
「リンクに行って、滑ってきたから」
「えっ! 結、あなたスケートを?」
私は改めてお母さんに話をする。
「お母さん、これからもスケートやらせてください。もう二度とやめるなんて言いません。どうしても続けたいの。これからの自分のためにも」
お願いします!と頭を下げると、お母さんは「結……」と呟いて押し黙った。
やがて小さく息をつく。
「わかったわ」
「ほんとに?」
パッと顔を上げると、お母さんは頷いた。
「結、あの時は叩いてごめんね。お母さん、自分の自己満足のために結を苦しめてたのよね。結の才能がうらやましかったのかも。どんなにがんばっても飛べなかったダブルアクセルを、結は軽々と飛んでたから」
「お母さん……」
「だけどこれからは、結は結の道を行きなさい。お母さんにできることは、結を応援することだけよ」
私は目を潤ませて「はい」と返事をする。
「がんばってね。それからいつか、お母さんにも結のスケート見せてね」
「うん、わかった。ありがとう、お母さん」
お母さんに立ち向かう必要なんてなかった。
お母さんは敵じゃない。
最初からずっと、私の味方だったはずだから。
今ならそう思える。
私は力強いお母さんの存在に、ますます勇気をもらった。
「おかえり。遅かったわね」
帰宅すると、心配そうにお母さんが玄関に出迎えに来た。
「リンクに行って、滑ってきたから」
「えっ! 結、あなたスケートを?」
私は改めてお母さんに話をする。
「お母さん、これからもスケートやらせてください。もう二度とやめるなんて言いません。どうしても続けたいの。これからの自分のためにも」
お願いします!と頭を下げると、お母さんは「結……」と呟いて押し黙った。
やがて小さく息をつく。
「わかったわ」
「ほんとに?」
パッと顔を上げると、お母さんは頷いた。
「結、あの時は叩いてごめんね。お母さん、自分の自己満足のために結を苦しめてたのよね。結の才能がうらやましかったのかも。どんなにがんばっても飛べなかったダブルアクセルを、結は軽々と飛んでたから」
「お母さん……」
「だけどこれからは、結は結の道を行きなさい。お母さんにできることは、結を応援することだけよ」
私は目を潤ませて「はい」と返事をする。
「がんばってね。それからいつか、お母さんにも結のスケート見せてね」
「うん、わかった。ありがとう、お母さん」
お母さんに立ち向かう必要なんてなかった。
お母さんは敵じゃない。
最初からずっと、私の味方だったはずだから。
今ならそう思える。
私は力強いお母さんの存在に、ますます勇気をもらった。



