それから2年が過ぎ、私たちは中学校に入学した。
私の家も晶の家もリンクから自転車で15分ほどだけど、方角が反対だから中学校も別々だ。
でもリンクに来れば毎日会える。
お互いに制服姿を披露して、「大きくなったな」と笑い合った。
晶はバッジテスト6級に受かり、もうすぐ7級にも挑戦できそうなほど腕を上げていた。
大会でも上位入賞が当たり前になり、注目も浴びている。
私はというと、相変わらずバッジテストも受けず、試合にも出ない。
それでもいいと晴也先生は言ってくれ、お母さんも説得してくれた。
「けどな結、なにか目標はあった方がいいぞ」
晴也先生に言われて考えたけれど、なかなか思い浮かばない。
晶はトリプルアクセルに挑戦中で、「結も一緒にどう?」と笑っていたっけ。
穏やかな毎日の中、ふとした時に晶が沈んだ表情を見せるのを、今なら思い出せる。
ただ、その時は気づけなかった。
晶がどんなにつらい目に遭っていたのか。
どんなに悩み、絶望しながら日々を送っていたのか。
だって晶は、私にはいつも笑いかけてくれたから。
ううん、気づくべきだった。
他の誰もが気づけなくても、私だけは晶の気持ちに気づかなきゃいけなかった。
どんなに悔やんでも悔やみきれない。
かつて私を救ってくれた晶を、私は救えなかったのだ。
14歳の春。
中学3年生になる前の春休みに、晶は突然私たちの前から姿を消した。
私の家も晶の家もリンクから自転車で15分ほどだけど、方角が反対だから中学校も別々だ。
でもリンクに来れば毎日会える。
お互いに制服姿を披露して、「大きくなったな」と笑い合った。
晶はバッジテスト6級に受かり、もうすぐ7級にも挑戦できそうなほど腕を上げていた。
大会でも上位入賞が当たり前になり、注目も浴びている。
私はというと、相変わらずバッジテストも受けず、試合にも出ない。
それでもいいと晴也先生は言ってくれ、お母さんも説得してくれた。
「けどな結、なにか目標はあった方がいいぞ」
晴也先生に言われて考えたけれど、なかなか思い浮かばない。
晶はトリプルアクセルに挑戦中で、「結も一緒にどう?」と笑っていたっけ。
穏やかな毎日の中、ふとした時に晶が沈んだ表情を見せるのを、今なら思い出せる。
ただ、その時は気づけなかった。
晶がどんなにつらい目に遭っていたのか。
どんなに悩み、絶望しながら日々を送っていたのか。
だって晶は、私にはいつも笑いかけてくれたから。
ううん、気づくべきだった。
他の誰もが気づけなくても、私だけは晶の気持ちに気づかなきゃいけなかった。
どんなに悔やんでも悔やみきれない。
かつて私を救ってくれた晶を、私は救えなかったのだ。
14歳の春。
中学3年生になる前の春休みに、晶は突然私たちの前から姿を消した。



