「3級合格おめでとう! 次は4級だね。これが4級の課題」
改めてお祝いの言葉をかけてから、私はリンクサイドのベンチで晶にプリントを渡す。
私たちは4年生になっていた。
「ジャンプはダブルトウループとダブルサルコウとダブルループ。晶なら余裕だよ。シットスピンもキャメルスピンも得意だし、ステップも大丈夫。フリースケーティングが2分30秒になるから、また晴也先生にプログラム作ってもらわないとね。楽しみだなー、晶の新しいプログラム」
宙を見てぽーっとしていると、晶が真剣な口調で「なあ、結」と呼んだ。
「なに?」
「うん、あのさ。結は今5級持ってるだろ? 6級は受けないのか?」
「あー、まだね。6級は難しいんだもん」
「だけど練習もしてないだろ? 俺、結のプロブラム見たことない。晴也先生に止められてるのか?」
「まさか。そんなことない」
「じゃあ、なんで?」
私はうつむくと、小さく答える。
「……言いたくない」
「は? なんだよ、それ。結、俺のことばっかり色々言って、自分のことはなんにも教えてくれないのな」
「だからなによ。なんで晶にそんなこと言われなきゃいけないの?」
「……別に」
「ほら、晶だってそうじゃない。ちゃんと答えられないなら、私にも言わないでよね!」
「違う! 俺は……」
「なによ?」
晶はグッと唇を噛みしめてから真っ直ぐに私を見つめた。
「俺だって結になにかしてやりたいんだよ! 悩みとか、相談とか、誰にも言えないんだったら俺にだけは話してほしかった!」
そう言うと晶は立ち上がり、更衣室の方へと走っていった。
改めてお祝いの言葉をかけてから、私はリンクサイドのベンチで晶にプリントを渡す。
私たちは4年生になっていた。
「ジャンプはダブルトウループとダブルサルコウとダブルループ。晶なら余裕だよ。シットスピンもキャメルスピンも得意だし、ステップも大丈夫。フリースケーティングが2分30秒になるから、また晴也先生にプログラム作ってもらわないとね。楽しみだなー、晶の新しいプログラム」
宙を見てぽーっとしていると、晶が真剣な口調で「なあ、結」と呼んだ。
「なに?」
「うん、あのさ。結は今5級持ってるだろ? 6級は受けないのか?」
「あー、まだね。6級は難しいんだもん」
「だけど練習もしてないだろ? 俺、結のプロブラム見たことない。晴也先生に止められてるのか?」
「まさか。そんなことない」
「じゃあ、なんで?」
私はうつむくと、小さく答える。
「……言いたくない」
「は? なんだよ、それ。結、俺のことばっかり色々言って、自分のことはなんにも教えてくれないのな」
「だからなによ。なんで晶にそんなこと言われなきゃいけないの?」
「……別に」
「ほら、晶だってそうじゃない。ちゃんと答えられないなら、私にも言わないでよね!」
「違う! 俺は……」
「なによ?」
晶はグッと唇を噛みしめてから真っ直ぐに私を見つめた。
「俺だって結になにかしてやりたいんだよ! 悩みとか、相談とか、誰にも言えないんだったら俺にだけは話してほしかった!」
そう言うと晶は立ち上がり、更衣室の方へと走っていった。



