氷上のキセキ Vol.1 ~リンクに咲かせるふたりの桜~【書籍化】

「やったぜー! ついに憧れのアクセルの練習が始まるー!」

2級に合格した晶はとにかく嬉しそうで、私は信じられない思いでいっぱいだった。
こんな短期間に、まさか本当に2級に合格するなんて……。

すると晴也先生が近づいて来て、晶の頭にポンと手を置く。

「ずいぶんご機嫌だな、晶。けどアクセルの練習はまだちょっと先だ」
「えー、なんでですか?」
「ここまでは一気に来たけど、もう少ししっかり基礎を固めないとアクセルは飛べない。スケーティングからしっかりやり直そう。がんばれるか?」
「はい! アクセル飛ぶためなら、なんだってします」
「ははは! それは頼もしいな。よし、今日から他のレッスン生と同じルーティーンをこなしていこう」

そう言うと晴也先生は私を振り返った。

「結、晶に教えてやってくれ」
「ええ? どうして私が?」
「どうしてもだ。ほら、陸上トレーニングからな。行ってこい」

仕方なく私は晶と一緒に外に出た。

「えっと、じゃあ始めます」
「はい! よろしくお願いします、結先生」
「ふざけるのやめて。ストレッチしたらランニングね」
「アイアイサー!」
「それ以上ふざけたら教えない」
「わー、ごめんって!」

渋々ストレッチを始めると、晶も真剣に真似をする。
身体をほぐすと建物の周りをランニングし、陸上でのジャンプ練習などもこなした。