君の素顔に恋をした


「次どこ行く? 本屋さん?」

「近くから、適当に行けば良いんじゃない?」

「なんか見たいのある?」

「あのお店はー?」


みんなの今日の目標、スポーツショップに行く事! 
が、達成されたので、とりあえず気になったお店に入っていくことにする。

雑貨屋さん、本屋さん、服屋さん、帽子屋さん、目に付いたお店から、適当に。



メンズの服屋では、前田くんが服をみんなに見せる。


「ねえ、これにどう?」

「似合いそうだけど、前田のサイズなくね?」

「店員さんに聞いてくる!」

「市川くんとか、横山くんは、なんかいいの有った?」

「俺の趣味じゃないかな」

「俺もいいや。ここちょっと高い」



市川くんが欲しいものがあった本屋さんでは、会計後、それぞれ買ったものを見せ合う。


「美羽ちゃんは、何か本買った?」

「うん。好きな画家さんのイラスト集が有ったから」

「へー、なんかオシャレ!」

「立間さんは?」

「私はこれー」


見せてくれたのは、名前は聞いたことのあるスポーツ漫画だった。


二十六巻って、長く続いている作品なんだな。


「面白いって聞くけど、私読んだ事無いなぁ」

「え、なら、今度貸すよ」

「ありがとう」


「市川ー、欲しいの有ったぁ? わ、参考書? 真面目だねー」

「二人の分も選んでやろうか?」

「いいよ。俺と前田は、漫画で。なぁ?」

「俺は、小説も読むけどねー」

「あっ、裏切るなよ」



なんとなくで入った帽子屋さんで、立間さんが必死に手を伸ばしているのを見て、市川くんが代わりに帽子を取る。


「これで合ってる?」

「合ってるよ、ありがとー。ほんと、この帽子、可愛い!」

「被ってみたら?」

「そのためには、一度ポニーテールを解かなきゃいけないんだよなぁ」



雑貨屋さんで、横山くんが真剣に二つの水筒を見比べていた。


「これとこれ、どっちが良いと思う?」

「横山、そんな可愛いの買うのか?」

「べつに買わないけど。どっちの方が人気あるんかなって」

「そういうのは、女子に聞いた方がいいんじゃない?」

「立間と、飯田さん、どっち派?」


そう言って、横山くんが雑貨屋さんで指したのは、二つの水筒だった。

左にあるのは、ステンレスで蓋は回すタイプ。くすみ色で、可愛い動物のイラストが描かれている。

右にあるのは、プラスチックで蓋はボタンを押すと開くタイプ。パステルカラーでグラデーションになっていて、メモリも着いている。


「私は、こっちかな」

「私はこっちー」


そう言って、私は左、立間さんは右を指す。


「二人ともべつか」


横山くんが、残念そうに答えるから、どきっとしてしまう。


もしかして、誰かにプレゼントしたいから真剣に悩んでる?


「どっちも良いんだけどねー。用途も違いそうだし。プレゼントするなら、その人が持って無さそうな方渡せば?」

「だから、プレゼントじゃないって」


横山くんがそう言ってくれたことに、ほっとする。


だって、これあげるとしたら、絶対女の子相手だもん。

さっき、服屋さんで「もう母の日のプレゼントは買った」って言ってたから、お母さんにあげるとかでは無さそうだし。


「ふーん」


立間さんは疑うような目で見てたけど、横山くんはどっちも買うこと無く、店を出た。