君の素顔に恋をした


高校の最寄り駅で立間さん達と別れ、横山くんと二人で駅のホームで待つ。


やっぱ二人って、緊張する。

さっき、横山くんと立間さんが仲いいの羨ましく思っちゃったから話したいんだけど、ドキドキで何を言おうか迷っちゃう。


「飯田さんって、バイトどのくらいの頻度で入ってんの?」


横山くんは私に緊張することないから、自然に話してくる。


「週四日だよ」

「じゃあ、たまたまか。何日か前行った時、居なかったの」

「え、来てたの」


前、また来るねって言ってくれたけど、実際また来てくれたんだ。

嬉しいけど、その日にバイトをしていなくて、悔しい気持ちもある。


「横山くんって、常連さんなんだっけ?」

「常連ってほどではないかな。何度か行ったこと有るくらい」


そっか、じゃあ会えたらラッキーってくらいかな。


「でもあのお店、よく知ってたね」


高校の駅でも、私達の最寄り駅でもない場所にある古い喫茶店なのに。


「中学の時、先輩に連れて行ってもらったんだ」


横山くんが優しく笑う。


喫茶店に連れて行ってもらうって、なんか大人。

連れて行ったのは、どんな先輩なんだろう?

バスケ部の先輩とか? 委員会の先輩?

横山くんが仲いい人、全然知らないから分からないな。


「その先輩とは、今も仲良いの?」

「えー、どうだろう」


私を見ていた横山くんが、遠くの方を見て考える。


「最近は、あんま喋ってないから……。あ、電車来た」


電車が来たので、二人で乗り込む。


「あそこ、開いている。飯田さん、座ったら」


横山くんが、一つだけ開いている座席を指す。

車内を見ても、他に座りたそうな人はいない様子だけど。


「疲れてないから、良いよ。横山くんの方がバスケ頑張って、疲れてるでしょ」

「両隣、女の人だから。飯田さん、いってきな」


そこまで言うなら、遠慮し続けるのも変な気がして座る。

横山くんは、私の前でつり革を持って立った。


「荷物持とうか?」

「ううん、大丈夫」


断られてしまうと、何も出来ない。

この距離で喋るのは、隣の人に迷惑かも知れないし。


……話したかったなぁ。



しょうがなくスマホを見ていると、駅に着く。


「飯田さん、バス待つ?」


スマホで、バスの時間を確認する。


「うんと、すぐ来るみたい」

「そっか。じゃあ、また明日だ」

「うん。また明日」


手を振って、本当にすぐ来たバスに乗り込む。


思ってたより、話せなかった。

やっぱ、あの空いている座席に座るタイミングで断るのがよかったかな。

でも、あれって横山くんの優しさだろうし。

それを断るのは心苦しい。


ううーん、正解がわからない!