君の素顔に恋をした


ちょっと気まずく思っていると、立間さんが私の背中に手を添える。


「美羽ちゃんも今、部活終わったんだって。だから、みんなで帰ろ!」


立間さんは、私と腕を組んで、さっそく歩き始める。


「へー、今なんだ。遅くまで、頑張ってるんだねー」


反対側から前田くんが、歩きながら大っきい背を曲げて、顔をのぞき込むように話す。


「……うん。ありがと」


前田くんと話すのは、ほぼ初めて。

私が知ってるのは、バスケ部で、クラスの盛り上げ役で、ちょっとチャラいってくらい。

対応に戸惑っている私と前田くんの間に、自然に入って市川くんが聞いてくる。


「飯田、いつもより遅いね。美術部って、決まった時間無いの?」

「美術部は一応有るけど、鍵預かれば最終下校まで居て良いの」

「そうなんだ」

「今日は、家庭科部の手伝いだったから、違うんだけどね」

「家庭科部の?」

「うん」


立ち止まって、さっき撮ったスマホの写真を見せる。

市川くんだけじゃなく、立間さんと男子二人も覗いた。


「これ、作るの手伝ってたんだ」

「あ、アイシングクッキーだ!」


立間さんが目を輝かせる。


アイシングクッキーの下書きイラストと、今日もクッキーに描くのを手伝った。


「すごーい、超細かい。美味そうだね」

「うん。クッキーは家庭科部が作った奴だから、美味しかったよ」


みんなで立ち止まっていたら邪魔になっちゃうので、スマホを仕舞い、歩き出す。


「いいなー。私も家庭科部入れば、美味しいのいっぱい食べれたな」


頬に手を当て、夢見心地で離す立間さんに、横山くんはツッコむ。


「でも、立間不器用じゃん。こんな上手に作れないだろ」

「美羽ちゃんみたいに、アイシングはできないかも知れないけど、レシピ見れば、クッキーくらいつくれるもん。……たぶん」

「たぶんじゃん」


立間さんの反論に、横山くんは笑う。


……二人、仲いいなぁ。

同じ部活だから話す時間がたくさん有るから、その分いっぱい知っているんだろうけど、羨ましく思っちゃった。

嫉妬とかしたくないのに、胸が苦しくなる。


「立間、ノートだってバランス悪いのに」


耳を逸らしたいのに、どうしても彼の声を拾っちゃう。