君の素顔に恋をした


他のお客さんの接客をしながら、時々、横山くんをチラッと見る。

飴色の木と赤いビロード、カラフルなステンドグラスの窓。

スピーカーから流れる、ゆったりとしたジャズ。

レトロな喫茶店の店内が、横山くんの一見クールな雰囲気とよく似合っていて、そのたび見惚れて、ドキドキ激しい感じじゃないけど、胸がずっとぽかぽかと暖かい。


私、横山くんの顔好きなんだなぁ。

一目惚れしたから、そりゃそうだって感じだけどさ。



横山くんは、シエスタでゆっくりと時間を過ごした後、お会計をする。

お会計は香織さんが担当するから、私は少し離れたところから、見ていた。


「ありがとうございました」


お会計を済ませすると、横山くんは、喫茶店を出る前に私を見た。


「飯田さん、バイトがんば。また来るよ」

「ありがとうございます」


また来る。

横山くんは、今までも来ていて、それが変わらないって事なんだろうけど、凄い嬉しい。


彼がシエスタに求めていたものから、邪魔にならなくてよかった。