君の素顔に恋をした


カウンターの中に戻り、遠くから横山くんの後ろ姿を見る。


横山くんって、何頼むんだろう。

コーヒー、紅茶? クリームソーダ?

この前、カラオケ行ったときは、色々混ぜていたよね。


……中学生の時、何も知らずただ見てて想像してた時はコーヒー頼むだろうなって思っていたけど、実際に話してみた横山くんは、コーヒーよりもサイダーって感じなんだよな。


「すみません」


横山くんが座ったままこちらに顔を向け、声をかけてくる。

もう注文決まったんだ。

いつも、同じもの頼んでいるのかな。


「美羽ちゃん行ってきて」

「はい」


香織さんに言われ、私が向う。


「失礼します。ご注文、お決まりでひょうか」


また噛んだ!


これで、二回目だから、めちゃくちゃ恥ずかしくて、もっと、もっと、緊張しちゃう。


「うん。ブレンドコーヒーと、カットアップルパイ……1つずつ」


緊張している私に気を使っているのか、丁寧に注文してくれる。


「かしこまりました。ブレンドコーヒーと、カットアップルパイですね」


良かった。
今度は、噛まなかった。


ほっとしていると、横山くんが笑って微笑ましそうに私を見ている事に気づいた。

かーっと顔が赤くなる。


は、恥ずかしい! 


「失礼します」


お辞儀をして、席を離れる。



横山くん、コーヒーなんだ。

意外だけど、何だか嬉しい。

私がイメージしていた横山くんの面も、彼にはあるんだな。