「それでね、うちのクラスは……」
ある日の朝、いつもの様に紗市と駅のホームで話しながら電車を待っていると、
「おはよ」
後ろから、挨拶された。
この声、横山くん⁉︎
慌ててと振り返ると、そこには、眠そうにあくびをしている横山くんがいた。
髪はいつより乱れていて、ネクタイもちょっとだらしない。
「おはよう、横山くん」
珍しい。
最寄り駅が同じだとは分かっていたけど、朝の時間に一緒になるのは初めてかも。
「その子、飯田さんの友達?」
横山くんは、私の隣に居た紗市を見る。
紗市は、「初めましてー」と笑顔で挨拶する。
「うん。小、中、同じなの」
「へー、そうなんだ。俺、横山和馬。飯田さんとは同じクラスで……仲良しなんだ。よろしくなー」
横山くんは、ニコリと笑う。
そっか、私達って、仲良しなんだ。
横山くんが、そう思ってくれているなんて嬉しい。
でも、ちょっと恥ずかしいかも。
彼の言葉に照れていると、紗市が私の方を見ているのに気づいた。
うん?
ちょっと不思議に思うけど、紗市は横山くんの方を見て挨拶した。
「一年四組の戸松紗市です。よろしく~」
いつも通りで、緊張はしていないみたい。
二人が仲良くなったら嬉しいけど、紗市が横山くんのこと好きになったり、横山くんが紗市を好きになったりしちゃったら、嫌だな。



